ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いは?
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアって何が違うの…?
仕事内容や年収に違いはあるの…?
✓本記事の結論
- ・ネットワークエンジニアはネットワークに特化した職種
- ・インフラエンジニアは、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニア、セキュリティエンジニアなどを含めた職種の総称です。
また、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの平均年収、将来性をわかりやすく比較しています。
目次
1.ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違い
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの関係性については、上の図を見ていただくとわかりやすいです。
図のように、インフラエンジニアという広い括りのなかの1つの職種がネットワークエンジニアという位置づけです。
つまり、広義の意味では、インフラエンジニアはネットワークエンジニアを兼ねるということになります。
なので、インフラエンジニアの仕事内容を理解することが第1ステップとなります。
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアのもっとも大きな違いは、それぞれの業務の担当領域が異なることです。
違い
- ・ネットワークエンジニアの業務の担当領域は、ネットワーク環境周辺がメインになります。
- ・インフラエンジニアの担当領域はネットワークも組み込んだITインフラ環境全体になります。
ここでいうインフラ環境とはネットワークのほかに、サーバーやセキュリティなどを指します。
よって、インフラエンジニアの種類は、各ITインフラの担当領域ごとに細分化されており、ネットワークエンジニアのほかにも「クラウドエンジニア」「サーバーエンジニア」「セキュリティエンジニア」などがあります。
結論、ネットワークエンジニアをはじめとするこれらのエンジニアの総称をインフラエンジニアと呼びます。
2.ネットワークエンジニアとは
ネットワークエンジニアとは、情報をつなぐ導線の役割を担っており、全てのアプリ、システムなど通信のをつなぐ役割を担っています。
例えば、電話をかけようとした時に、繋がらない状況が続いたりすると、ネットワークがダウンしている可能性があります。
そのようなネットワークを作り、運用しているのが、ネットワークエンジニアです。
2-1.ネットワークエンジニアの仕事内容
ネットワークエンジニアの仕事内容は、大きく分類すると要件定義・設計・構築、運用・保守・監視で分かれていいます。
工程毎に詳しく解説します。
●要件定義
要件定義の業務内容は、クライアントが実現したいネットワークの詳細をヒアリングして、要件定義書を作ることです。
ネットワーク設計にかかる予算やスケジュール、どのエンジニアを宛がうかなどを詳細に決定していきます。
●設計業務
設計での業務内容は、要件定義書に基づいてネットワークやサーバーシステムの設計を行うことです。
設計業務で構築する内容を詳細に落とし込んでいきます。
●構築業務
そして、構築の業務で設計書通りに以下のようなことを実行します。
業務内容
- ・システムの稼働に必要な実機の設置・配線・設定
- ・ソフトウェアのインストール
- ・通信のテスト
ここまでの要件定義・設計・構築までの上流工程は、高いスキルが要求されるのでネットワークエンジニアとしての経験と実績がある人が担うことが一般的です。
●運用、保守
運用・保守の主な業務内容は、構築したネットワーク・サーバーシステムを実際に稼働させて、トラブルが発生したときは修正対応を行うことです。
どんなに正確に構築したシステムでも不可抗力で障害を起こす可能性があります。
システム障害が長引いてしまうとシステムユーザーの満足度低下を招くばかりでなく、クライアントとの信頼関係も揺らぎ、大問題に発展しかねません。
そこで、障害対応は迅速に行う必要があります。
●監視
監視の業務内容は、稼働しているシステムにエラーやトラブルが起きていないか、インフラエンジニアが24時間365日交代制で見張ります。
トラブルが発生したときは、対応チームに即座に連絡を入れるのも監視チームの役目です。
下流工程の運用・保守・監視業務は、未経験からネットワークエンジニアになって間もない、経験が浅い人が担うことが多いです。
2-2.求められるスキル
ネットワークエンジニアに求められるスキルは主に以下のとおりとなります。
【→関連記事:ネットワークエンジニアに必要なスキルは?向いている人の特徴なども紹介】
スキル
- ・ネットワークスキル
- ・コミュニケーション能力
- ・論理的思考力
上記3つのスキルについて解説していきます。
●ネットワークスキル
ネットワークエンジニアは大前提として、ネットワークに関するスキルを持っている必要があります。
ネットワークスキルとは、さまざまなネットワーク系の専門用語の意味を正しく理解し、それを実務に落とし込める能力のことです。
ネットワークのスキルを磨いていくなら、まずは「CCNA」の取得をおすすめします。
【→関連記事:【2023年最新版】合格に導く!CCNAのおすすめ参考書を解説】
●コミュニケーション能力
多くの職業の仕事がそうであるように、ネットワークエンジニアの仕事も基本的に数人から20人程度のチームで役割分担をしながら進めていきます。
プロジェクトの進捗を円滑にするためには、マネージャーや同僚と常に意思疎通をしていく必要があるため、コミュニケーション能力は必須になります。
また、経験を積んで上流工程に携わるようになった場合は、クライアントの要望を傾聴してメリットを提示しつつ、こちら側の希望条件も聞いてもらえるようにする、高い対人折衝力・提案力が必要になります。
ネットワークエンジニアとしての地位が上がるほど、求められるコミュニケーション能力も高くなるのです。
●論理的思考力
優れたネットワークエンジニアは、抜群の論理的思考力を有しています。
ネットワークエンジニアの業務において論理的思考力が必要になる場面は、システム障害が起きたときです。
システム障害ではその全体状況をいち早く把握して、原因を特定しながら解決を目指していく必要があります。
そのため、無駄なく正しいプロセスを踏める、合理的かつ論理的思考に基づいた行動が求められるのです。
不測の事態にも慌てない論理的思考力のあるネットワークエンジニアは、高い評価が得られるでしょう。
2-3.キャリアパス
ネットワークエンジニアのキャリアパスは、以下の2つです。
【→関連記事:ネットワークエンジニアのキャリアパス5選!キャリアアップ方法も紹介】
キャリアパス
- ・スペシャリスト
- ・ゼネラリスト
この2つのキャリアパスを詳しく解説します。
●スペシャリスト
ネットワークエンジニアの1つ目のキャリアパスは、スペシャリストになることです。
ここで意味するスペシャリストとは、ネットワークの分野において突出したスキルや知識を持ち合わせている職種のことです。
ネットワークエンジニアのスペシャリストになる過程は以下のとおりです。
過程
- ・保守・運用・監視・ヘルプデスクなどの下流工程を1~2年ほど経験する
- ・その後、設計・構築などの上流工程を2~5年ほど経験する
- ・ネットワークディフェンダーやホワイトハッカー、トップアーキテクトなどの専門職に就く
CCNA・CCNPなどのネットワーク系の資格を取得しつつ、下流・上流工程の実務経験を数年間積んで、絶えず勉強していくことで、ネットワークディフェンダーやホワイトハッカーなどの高度なネットワーク技術が必要なスペシャリスト職にキャリアアップできる道が開けます。
スペシャリスト職に従事できれば、当然、年収も大幅にアップします。
●ゼネラリスト
ネットワークエンジニアの2つ目のキャリアパスとしてゼネラリストになる道があります。
ゼネラリスト系の職種は、幅広い知識とスキル、豊富な実績が求められます。
ネットワークエンジニアにおけるゼネラリスト職は以下となります。
ゼネラリスト
- ・ITコンサルタント
- ・プロジェクトマネージャー
- ・プロジェクトリーダー
いずれの職種もエンジニアを統括する優れたマネジメント力やクライアントと交渉する高度なコミュニケーション能力が不可欠です。
また、ゼネラリスト職の道に進む場合も、下流・上流工程の実務を5年以上経験して社内で高い評価を受ける必要があるでしょう。
3.インフラエンジニアとは
前章ではネットワークエンジニアについて触れてきましたが、続いて、インフラエンジニアについて、詳しく解説します。
「仕事内容」と「求められるスキル」を解説します。
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いに注目しながら、ご確認ください。
3-1.インフラエンジニアの仕事内容
インフラエンジニアの仕事内容は、ネットワーク・サーバー・OS・クラウド・セキュリティなどのITインフラ全般のシステム設計から構築・保守・運用業務が主になります。
ネットワークエンジニアとの違いは、ネットワークだけに留まらず、サーバーやセキュリティなどの幅広い業務を任されます。
3-2.求められるスキル
インフラエンジニアに求められるスキルは、ネットワークエンジニアに求められていたネットワーク設計やトラブル対応などに関連したものに加えて、クラウド周りや仮想化、プログラミングなど、どのITインフラの業務を担当するかで異なってきます。
このように、インフラエンジニアは各ITインフラに対する幅広い知識やスキルが要求されます。
この点がネットワークシステム関連に特化した知識やスキルが要求されるネットワークエンジニアとの違いです。
4.ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの比較
この章では、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアについて以下の内容を比較します。
仕事内容
- ・平均年収
- ・将来性
- ・求められるスキル
それでは、詳しく解説します。
4-1.平均年収で比較
まずは、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアのそれぞれの年収についてデータを参考にしながら説明していきます。
【→関連記事:【年代別】ネットワークエンジニアの年収を解説|低い?1000万円稼げる? / 【2023年最新】インフラエンジニアの平均年収は?1000万までの上げ方も解説】
結論としては以下となります。
職種 |
ネットワークエンジニア |
インフラエンジニア |
日本の平均年収 |
平均年収 |
448万円 |
540万円 |
443万円 |
・ネットワークエンジニアの年収参考データ:doda
・インフラエンジニアの年収参考データ:求人ボックス
・日本の平均年収の参考データ:民間給与実態統計調査
インフラエンジニアの正社員の平均年収540万円という数字は、インフラエンジニア職全般のものになります。
サーバーエンジニアやクラウドエンジニアなどインフラエンジニアのカテゴリーごとに収入は異なってきます。
また、当然ですが本人のスキルや年齢によっても収入の変動幅は大きいです。
さらに、地方よりも首都圏の企業に従事している人のほうが平均年収が高い傾向にあります。
4-2.将来性で比較
将来性の観点からネットワークエンジニアとインフラエンジニアを比較していきます。
結論からお伝えすると、ネットワークエンジニアもインフラエンジニアも将来性は高いと言えます。
●ネットワークエンジニアの将来性
IT業界では近年、クラウド化が加速しています。
クラウド化とは自社の情報データ・システムを外部のクラウドサービスに移行することです。
このクラウド化の普及により、オンプレミスでの作業が少なくなってきています。
オンプレミスとは、情報システムを自社で管理・運用するスタイルのことを指します。
オンプレミスとクラウドの違い
クラウド化が進行してオンプレミスが減少するということは、一見するとクラウドエンジニアの需要が増してネットワークエンジニアの需要が減少していると捉えられそうですが、実際には異なります。
ネットワークエンジニアの需要は絶えず変化しており、その仕事や需要自体がなくなることは考えられません。
ゆえに、ネットワークエンジニアの将来性は高いでしょう。
【→関連記事:ネットワークエンジニアの将来性は低くてオワコン?クラウド普及の影響とは】
●インフラエンジニアの将来性
インフラエンジニアもまた、将来性のある職業と言えるでしょう。
その理由は、政府が主導しているDX(デジタルトランスフォーメーション)推進によって、クラウド・サーバー・セキュリティなどのITインフラの環境が急激に変化しているからです。
DXとは、企業がAIやビッグデータを活用して業務の効率化を図ることです。
政府が進めるDX推進では新規のITインフラの整備・再構築が必要になります。
企業がデータ解析を効率よく行ったり、AI・ビッグデータ・IoTなどの最新デジタル技術を活用するには、新しいITインフラを整備するインフラエンジニアの技術力が必要不可欠なのです。
このことから、社会に求められるインフラエンジニアの需要は、今後ますます高まっていくでしょう。
【→関連記事:インフラエンジニアの将来性|需要を業界の最新動向を踏まえて解説】
参考サイト:経済産業省
4-3.求められるスキルで比較
最後に、求められるスキル面でネットワークエンジニアとインフラエンジニアを比較していきましょう。
●ネットワークエンジニアに求められるスキル
ネットワークエンジニアに第一に求められるスキルは以下となります。
- ・IT全般の基礎知識
- ・ネットワークの知識
- ・ネットワーク機器の知識
- ・ネットワークの設計、構築スキル
ネットワーク系の知識・スキルを身に付けるには、「CCNA」をはじめとするその分野に特化した資格を取得することである程度身につけることが可能です。
【→関連記事:ネットワークエンジニアに必要なスキルは?向いている人の特徴なども紹介】
●インフラエンジニアに求められるスキル
インフラエンジニアの求められるスキルは、ネットワークだけに限らず、サーバー・データベース・クラウド・セキュリティなど幅広いITインフラの知識を身につける必要があります。
さらに、運用しているシステムに障害が起きた場合は、サーバーやネットワークのどこで障害が発生しているのかの発生場所とその原因を素早く発見する必要があります。
そのため、これはネットワークエンジニアにも言えますが、インフラエンジニアにも正確な判断力と高い論理的思考力が求められます。
インフラエンジニアにおすすめの資格は「基本情報技術者試験」などIT全般の知識を網羅するとよいでしょう。
5.まとめ
この記事では、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いについて解説してきました。
両者の違いはその担当領域にあります。
担当領域の違い
- ・ネットワークエンジニアはネットワーク周りの環境を担当領域
- ・インフラエンジニアは、ネットワークも含めたサーバー・クラウド・セキュリティ・データベースなどさまざまなITインフラがその担当領域になります。
そのため、広義の意味では、ネットワークエンジニアはインフラエンジニアに含まれることになります。
また、ネットワークエンジニア、インフラエンジニア、日本全体の平均年収をまとめました。
職種 |
ネットワークエンジニア |
インフラエンジニア |
日本の平均年収 |
平均年収 |
448万円 |
540万円 |
443万円 |
インフラエンジニアはネットワークエンジニアに比べて、100万円ほど年収が高いです。
その理由としては、インフラエンジニアの中でも年収が高い「クラウドエンジニア」「セキュリティエンジニア」も含まれているのが理由となります。
クラウドエンジニアやセキュリティエンジニアは更に難しい技術領域なため、年収が高い傾向にあります。
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いがよく分からない方は本記事で理解し、今後の転職や就職にお役立てください。
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この記事の監修者
エンジニア
大学卒業後、新卒で不動産会社に就職。その後23歳で開発エンジニアにキャリアチェンジし、3年間大手Slerにて様々な開発に携わる。その後、インフラストラクチャー企業にて人材コンサルタントとして経験を積み、株式会社ユニゾン・テクノロジーを創業。現在の代表取締役