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SIerは客先常駐が多い?見分け方やメリット・デメリットを解説!

IT業界
SIerは客先常駐が多い?

SIerへの転職を検討しているんだけど、客先常駐が多くて辛いとも聞くな….

SIerは客先常駐の企業が多いと聞くけど、どうやって見分けたら良いんだろうか…

✓本記事の流れ

  • ・SIerは本当に客先常駐が多いのかを解説
  • ・客先常駐のSIerで働くメリット・デメリットを解説
  • ・客先常駐なしのSIerの見分け方を解説

SIerは客先常駐が多くて大変だといった趣旨の記事をネットで見ることは多いと思います。

本記事では、SIerは本当に客先常駐が多いのかや、客先常駐のSIerで働くメリット・デメリット、客先常駐なしのSIerの見分け方を解説しています。

客先常駐のない仕事も紹介しているので、最後まで目を通してください。

1.SIerは客先常駐が多い?

まずは、SIerという働き方を解説します。

そもそもSIerとは何か、客先常駐が多いのかについても見ていきましょう。

1-1.SIerとは

SIerは、「System Integrator(システムインテグレーター)」の略語であり、「エスアイヤー」と呼ばれます。

クライアント企業からのオーダーを受けてシステムやソフトウェアを開発する「受託開発企業」のことで、企画・構築から運用・保守まで幅広く請け負うのが特徴です。

近年はSIer企業では働くエンジニアそのものを指して「SIer」と呼ぶことも増えています。

1-2.客先常駐とは

客先常駐とは、クライアント企業(客先)のオフィスに常駐する働き方です。

営業職などが特定の日だけクライアント企業を訪問する場合と異なり、客先常駐の場合は基本的な出勤先がクライアント企業のオフィスになります。

そのため、雇用元である自社のオフィスに出向く機会は非常に少なくなります。

また、クライアント企業が変われば出勤先も変わるので、定期的に出勤先が変わることも特徴です。

1-3.SIerは客先常駐か自社勤務のどちらか

SIerの働き方は、客先常駐と自社勤務のどちらかです。

クライアント企業との契約内容やSIer企業の判断により異なるため、「SIerであれば必ず客先常駐(または自社勤務)である」と言い切ることはできません。

なかには、請け負う案件の全てを客先常駐にするSIer企業もあります。

反対に、請け負う案件全てを自社勤務で完結させるSIer企業もあれば、案件ごとにケースバイケースで判断している企業もあり、さまざまです。

働き方はSIer企業により異なるため、希望の働き方があるときは就職前にしっかりリサーチしておきましょう。

1-4.割合としては客先常駐のSIerが多い

SIer は客先常駐と自社勤務どちらのスタイルを取ることも可能ですが、情報サービス産業における8割以上の企業が「客先常駐者がいる」と回答した調査もあり、SIerで客先常駐するケースは多いと言えます。

また、2年以上同じクライアント企業に常駐するケースも半数以上を占めており、プロジェクトによっては長期化することもあるので注意しましょう。

2.同じく客先常駐のSESとSIerは何が違う?

客先常駐で働くエンジニア職種には、SIerだけでなく「SES」も含まれます。

SESの場合はほぼ100%近くが客先常駐であり、自社勤務であることはほとんどありません。

下記では、SIerとSESの違いについて解説します。

2-1.SESとは

SESは「System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)」の略語であり、「エス・イー・エス」と呼ばれます。

ソフトウェアやシステム開発の他、既存システムの保守・点検・運用等における委託契約を締結するのがSESであり、特定の業務に対してエンジニアの労働力を提供します。

SESについて詳しく知りたい方は、こちらの「SESとは?【図解】IT派遣との違いや契約のメリットをわかりやすく解説」が参考になります。

2-2.SIerとSESの違い

SIerとSESは、クライアント企業からのオーダーを受けてシステムやソフトウェアを開発する、という点では同一です。ただし、「何に対して報酬を受け取るか」が異なります。

SIerがクライアント企業に提供するのは開発したシステムやソフトウェアであり、完成品に対して報酬が発生します。

高い開発能力が求められる仕事であり、要件定義から設計などの上流工程から実際の開発まで幅広く担当します。

一方、SESがクライアント企業に提供するのはエンジニアの労働力であり、働く時間に対して報酬が発生します。

クライアント企業と締結するのは「準委任契約」であり、雇用元であるSES企業からの指示を受けてエンジニアが働きます。

どちらも客先常駐することのある働き方ですが、求められている役割が違う点に注意しましょう。

両方の働き方を更に詳しく比較した記事「SIerとSESの違いとは?働くならどっちがいい?違いを徹底比較!」も参考にしてみてください。

3.客先常駐のSIerで働くメリット

ここからは、客先常駐のSIerで働くメリット・デメリットを解説します。

まずはメリットから紹介するので、自分が転職した場合をイメージしながらチェックしてみましょう。

3-1.様々な会社で働き、吸収できる

客先常駐ではプロジェクトが変わる度にクライアント企業や出勤先が変わるため、さまざまな会社の内部事情に精通できます。

交流する人も社内環境も都度変化していくので柔軟に対応できる素質が育ち、フレキシブルに動けるエンジニアを目指せるのがメリットです。

求められるスキルも客先現場ごとに変わり、自分のスキルアップになるのも魅力的な点と言えるでしょう。学びながら働きたい人には、客先常駐のSIerが向いています。

3-2.未経験でも入社しやすい

客先常駐のSIerは未経験でも入社しやすく、他業種・他職種からキャリアチェンジしたばかりの人やプログラミングスクールを卒業したばかりの人でも転職できる可能性が高いです。

実際に未経験歓迎のエンジニア求人をチェックしていると、SIerや客先常駐企業の求人が多いのはそういった理由が挙げられます。

エンジニアとして確実にキャリアステップを進めたいときに、SIerを検討してみましょう。

3-3.顧客とのコミュニケーションの機会が多い

客先常駐のSIerはクライアント企業のオフィスで働くことになるため、顧客と直接コミュニケーションできる機会が多いです。

クライアントのニーズに耳を傾けながらプロジェクトの進行を考えたり、クライアントに寄り添いながら働けたりするので、人のために働くことにやりがいを感じる人は、大きな達成感を得られるでしょう。

やりがいを実感しやすく、エンジニアになった旨味も実感できます。

3-4.自社の雑務業務などをする必要がない

自社オフィスにほとんど出勤しない客先常駐のSIerは、自社の雑務を担当する必要がありません。

掃除、書類整理、備品補充、来客対応などが発生しないため、エンジニアの仕事だけに集中できるのが大きなメリットです。

なお、常駐先オフィスの雑務はそこで直雇用されている社員が担当するのが一般的です。

そのため、自分が出勤しているオフィスといえど、自デスクの整理整頓程度しか依頼されることはありません。

4.客先常駐のSIerで働くデメリット

客先常駐のSIerには多くのメリットがありますが、一方でデメリットもあるので注意しましょう。

下記では代表的なデメリットを紹介します。

4-1.仕様変更が多くなる

SIerは客先現場に常駐しているため、細かな相談や依頼を受けやすくなるのがデメリットです。

クライアントとのコミュニケーションが活性化するという良い側面もありますが、突発的な業務の依頼、急な仕様変更や納期短縮が課せられることもあります。

雇用元からの指示しか受けないSESと異なり、SIerはクライアント企業のニーズを聞いて動くのも仕事のひとつであるため、仕事を頼まれると断り切れないケースも多いです。

結果、残業や休日出勤でカバーするなど無理な働き方になる可能性があることも留意しておきましょう。

どうしても難しい要望には的確な情報を出して理解してもらう必要があるため、交渉力も求められます。

4-2.帰属意識が芽生えにくい

ほとんどの時間を客先現場で過ごすSIerエンジニアは、自社への帰属意識が芽生えにくくなります。

直属の上司や同僚との関わりも薄くなり、客先現場のメンバー以外と交流する機会も少なくなりがちなため、何を目的に働いているかがわからなくなるという人もいます。

そのため、待遇や報酬などが下がると転職を検討しやすくなる点にも注意しましょう。

4-3.案件ごとに人間関係を構築する必要がある

プロジェクトが変わる度に客先現場も変わるため、その都度人間関係を構築していく必要があります。

せっかく信頼を築けたクライアントとすぐ離れなくてはいけなかったり、客先現場の社風やコミュニケーション手法に馴染めず苦戦したりすることもあるでしょう。

場合によっては相性の悪い客先現場での常駐を命じられるなど、やりづらさを感じることも多いです。

定期的に人間関係を一新したい人にとっては理想的な働き方ですが、長時間かけて少しずつ関係性を良くしていきたい人にとっては、ストレスが溜まるかもしれません。

5.客先常駐が多いSIerの見分け方

同じSIerでも、客先常駐の多いSIerとそうでないSIerとに分かれます。

下記では客先常駐の多いSIerならではの特徴を紹介するので、転職時の応募先を比較・検討したいときに役立てましょう。

5-1.2次請け以降のSIer

2次請け以降(3次請け・4次請け含む)のSIerの場合、客先常駐が多くなります。

多重下請け構造になりやすいIT企業では、下請けになればなるほど仕事が選べないため、需要の多い客先常駐案件を多く扱うことになります。

客先常駐が多い理由としては、主に以下の理由が挙げられます。

  • ・クライアント企業にとって、仕様やスケジュールの確認が楽
  • ・すぐにコミュニケーションが取れる
  • ・セキュリティの心配をしなくていい

そのため、2次請け以降のSIerでは客先常駐が多いのです。

ただし、3次請け4次請けになると厳しい納期を求められることが多く、激務になりやすいため注意しましょう。

また、予算が限られているからこそSIer企業が受け取る報酬も低く、そこで働くエンジニアの年収も低くなりがちです。

5-2.求人の勤務地が不明瞭

客先常駐の多いSIerでは、案件ごとに勤務先が変わるため、求人情報に明確な勤務地を掲載しないケースが多いです。

「都内23区内のオフィス」「プロジェクトによる」などざっくりとした書き方になっている場合は、ほとんどの案件が客先常駐だと思っておくとよいでしょう。

ある程度エリアを絞っているSIer企業であれば通勤に困りませんが、中にはエリアの区別なく案件を受けるSIer企業もあるため、想定される勤務地は念入りに調べるようにしましょう。

5-3.独立系SIer

独立系SIerとは、大手コンピューターメーカーやハードウェアメーカーから独立した「メーカー系SIer」にも、銀行・生保・商社など大手企業のシステム部門から独立した「ユーザー系SIer」にも属さないSIer企業です。

親会社やグループ会社を持たないため規模が小さく、フットワーク軽く動ける一方で客先常駐が多くなるのが特徴です。

なお、今あるSIer企業の9割は独立系SIerと言われており、未経験で転職できるのもほとんどが独立系SIerです。

6.客先常駐なしのSIerの見分け方

客先常駐の多いSIerがある一方で、客先常駐が一切ないSIerもあるので注目しておきましょう。

下記では、客先常駐なしのSIerを見分ける方法を解説します。

6-1.元請けが多い

案件のほとんどが元請けであるほど、客先常駐ではなく自社勤務の割合が高まります。

比較的スケジュールにも予算にも余裕がある立場でいられるため、クライアント企業とのコミュニケーションに時間を割きやすく、自社オフィスに持ち帰って仕事をする場合でも問題なく業務が進みます。

その分エンジニアが直接クライアント企業と交流する機会が減ってしまいますが、どうしても客先常駐を避けてSIerに転職したい人は、元請け企業から優先的に応募しましょう。

6-2.ユーザー系

ユーザー系SIerとは、銀行・生保・損保・商社など大手企業における情報システム部門が独立してSIerになった形態です。

主に親会社やグループ会社の開発案件を請け負うため、クライアントとコミュニケーションが取りやすく、自由度も高くなります。

プログラミングやエンジニアリング関連の知識の他、親会社の業界の知識も求められます。

例えば銀行系SIerであれば銀行の、生保系SIerであれば生保の知識といった風にです。

6-3.自社製品を開発している

自社製品の開発をするSIerであれば、ほとんどが自社勤務になります。

オリジナルのシステムやソフトウェアを開発し、既製品として販売するスタイルであれば、クライアント企業のニーズに合わせてオーダーメイドで開発する必要がありません。

または既存のシステムを少しカスタマイズする程度の業務であれば、わざわざ客先現場に赴く必要がなく、自社勤務だけで完結します。

いわゆる「自社開発企業」と「SIer」の間を取った働き方になるので、SIerにデメリットを感じている人でも比較的馴染みやすいのが特徴です。

7.客先常駐無しの企業例

客先常駐のない企業の一例として、下記が挙げられます。

客先常駐のないSIer企業の例

  • ・日本マイクロソフト
  • ・日本オラクル
  • ・電通国際情報サービス
  • ・日本IBM
  • ・日立製作所
  • ・富士通
  • ・NTTデータ
  • ・SCSK
  • ・TIS
  • ・SBテクノロジー

いずれも大手SIer、かつメーカー系SIerまたはユーザー系SIerが多いとわかります。

平均年収1,000万円を超える企業も多いので、キャリアアップの選択肢としてチェックしておきましょう。

8.客先常駐なしの転職先には何がある

客先常駐を避けてエンジニアになりたい場合、SIer以外の選択肢を検討するのもおすすめです。

下記では客先常駐なしで働きたいエンジニア向けの転職先を紹介するので、SIerと比較してみましょう。

8-1.社内SEに転職する

社内SEとは、自社のシステム構築・保守・点検・運用や社内向けヘルプデスク業務を担当するエンジニアを指す言葉です。

いわゆる「社内システム部門」に勤務するエンジニアであり、ある程度規模の大きな企業であれば業種やエリアを問わず部門を設けていることが多いです。

「社内SE」の名前の通り、自社業務が100%を占めているため、クライアントワークにはなりません。

そのため客先常駐する必要もなく、自社勤務で業務を完結させます。

その分、モバイル端末の貸与手続きなどエンジニアリング以外の業務を担当する必要が出てきますが、職場の安定を求める人には最適な職種と言えます。

8-2.自社開発企業に転職する

自社開発企業とは、自社で開発したソフトウェアやシステムを販売して収益を出すIT企業を指す言葉です。

クライアントからのオーダーを受けての開発ではないため、客先常駐する必要がなく、自社での開発に集中できます。

同じメンバーと交流できるなど長期的な人間関係の形成にも貢献するため、長く同じ環境で働き続けたい人に向いています。

9.客先常駐なしを見分けるには転職エージェントを活用しよう

客先常駐をせず働ける職場に転職したいときは、IT転職に強いエージェントを活用するのがおすすめです。

客先常駐の有無だけでなく、平均常駐期間や常駐先での仕事内容など、求人だけではわからない情報も提供してもらえるので、応募先を比較するのに役立ちます。

「絶対に客先常駐だけはしたくない」「今まで客先常駐SIerで働いてきたが、自社開発企業や社内SEに転職したい」などの希望に合った求人も紹介可能なため、キャリアチェンジしたい人にもおすすめできます。

また「転職するか迷っている」といった相談も受け付けているので、まだ転職する予定がない場合でも気軽に相談してみてください。

なお、転職エージェントでは下記のようなサポートを提供しています。

転職エージェントのサービス

  • ・エンジニア求人の紹介
  • ・キャリアプランの相談
  • ・市場価値診断(年収診断)
  • ・適職診断
  • ・履歴書や職務経歴書の添削
  • ・模擬面接や質問内容のアドバイス
  • ・口コミや評判の紹介
  • ・面接日程の調整代行
  • ・内定条件の交渉
  • ・退職交渉に関するアドバイス

その転職エージェントにしかない「非公開求人」を紹介してくれる場合も多く、一般的な転職市場に出回らない大手企業の求人に出会えることも。

自分ひとりで転職活動するより効率を上げられるため、在職しながらの転職や始めての転職で活用するのも効果的です。

10.まとめ:客先常駐のあるSIerは多い。自分に合っているかを見極めよう

客先常駐が必須のSIerは多く、必須でなくてもプロジェクトごとに働き方が変わるなど不安定な職場になることがあるので注意しましょう。

定期的に環境を変えたい人や、環境が変わること自体を楽しめる人は客先常駐向きですが、それ以外の人にとっては却ってストレスになる場合が多いです。

客先常駐のない転職先を希望する場合、IT転職に強いエージェントを活用して適性に合う応募先を紹介してもらうのが近道です。

転職後にミスマッチが判明して後悔することのないよう、事前のリサーチにはプロの力を借りてみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者

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エンジニア

土肥 将司

大学卒業後、新卒で不動産会社に就職。その後23歳で開発エンジニアにキャリアチェンジし、3年間大手Slerにて様々な開発に携わる。その後、インフラストラクチャー企業にて人材コンサルタントとして経験を積み、株式会社ユニゾン・テクノロジーを創業。現在の代表取締役

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