SaaS,PaaS,IaaSとは?クラウドサービスの概要や違いを解説
SaaS・PaaS・IaaSの違いって何…?
クラウドサービスを利用する時、SaaS・PaaS・IaaSのどれを利用すればいいの…?
✓本記事の内容
- ・クラウドサービスがIT業界で需要が高まっている理由を確認しよう
- ・3つのクラウドサービスであるSaaS・PaaS・IaaSの概要や用途、メリットやデメリットについて確かめよう
- ・SaaS・PaaS・IaaSのサービスの違いを理解しよう
クラウドサービスを提供している企業の就活や転職時の面接では、SaaS・PaaS・IaaSの違いを聞かれることがほとんどです。
そのため、クラウドサービス提供企業への入社を考えている方は、内定を獲得するためにも本記事を読んで、SaaS・PaaS・IaaSの理解を深めておきましょう。
1.クラウドサービスとは(SaaS,PaaS,IaaS)
クラウドサービスはIT業界の最新トレンドの内の1つです。
今後、IT業界で需要が高まると想定されており、IT業界で働くなら関わる可能性が高い分野と言えるでしょう。
ですので、IT業界で就活・転職を考えている方はクラウドサービスの知識を必ず押さえておきましょう。
1-1.クラウドサービス(SaaS,PaaS,IaaS)とは
クラウドサービスとは、ハードウェアの購入やソフトウェアのインストールなしに、サービスを利用できることです。
クラウド(クラウドコンピューティング)が開発される前は、オンプレミスという方式でデータやサービスを管理していました。
オンプレミスとは、サーバーなどのハードウェアやソフトウェアなどの情報システムを使用者が管理する施設内に設置して運営することです。
オンプレミスの場合は、情報システムを自身で保有し、管理しなければいけないため、調達・構築・開発・運用の全てを自社で行わなければなりませんでした。
また、もし実践投入した際に不具合が発生したら、その都度自分たちで解決・修理を行わなければなりませんでした。
そのため費用が多くかかり、導入・運用に労力や時間が取られていました。
しかしクラウドサービスを利用することにより、サーバーやソフトウェアなどの情報システムを自社で所有・管理する必要がなくなり、導入時間の短縮や労力の削減につながりました。
またお金を支払うだけで大規模で高性能なサーバーなどを使用することができるため、中小企業なども業務でITを取り入れやすくなりました。
クラウドサービスは3つの種類に分かれており、利用用途に合わせてサーバーをどの範囲までカスタマイズしたいかを選べるようになっています。
クラウドの種類
- ・SaaS
- ・PaaS
- ・IaaS
使用するクラウドの種類によって、下記のようなことが可能になります。
- ・導入後すぐに開発済みのアプリケーションが使用できる
- ・開発環境はセッティングされていて、その環境を利用してシステム・アプリケーションを開発する
- ・開発環境の一部を借り、残りは自身で構築して、システム・アプリケーションを開発する
SaaS・PaaS・IaaSの比較を表でまとめると、以下の通りです。
用途 |
自由度 |
必要な専門性 |
具体例 |
|
SaaS |
開発済みで、すぐに利用できるソフトウェア(アプリケーション)を導入したい |
低い |
低い |
・Gmail ・Zoom ・iCloud |
PaaS |
開発の基盤(開発環境)が構築されている状態で、すぐにシステムやアプリケーションの開発をしたい |
中間 |
中間 |
・Amazon Web Service (AWS) ・Microsoft Azure ・Google Cloud Platform |
IaaS |
開発の基盤となる設定から自分たちでカスタムして、1からシステムやアプリケーションの開発をしたい |
高い |
高い |
・Amazon Web Service (AWS) ・Microsoft Azure ・Google Cloud Platform |
1-2.クラウドサービス(SaaS,PaaS,IaaS)を利用するメリット・デメリット
なぜクラウドサービスがIT業界の最新トレンドで、今後需要が高まると想定されているのか、クラウドサービスを利用するメリットとデメリットについて見ていきましょう。
クラウドサービスのメリット
- ・BCP対策になる
- ・コストが削減できる
- ・ハードウェアの管理・保守が不要
- ・スケールアップ・ダウンしやすい
BCP対策になる
BCP対策とは、企業が災害などの緊急事態時に事業を継続するための対策を決めておく計画のことです。
クラウドサービスを利用することで、インフラは社外にあるため、リスク分散ができます。
またクラウドサービスのサーバーはデータセンターに設置されていることが一般的です。
データセンターは災害時の対策が徹底してあり、自社で同等のデータ管理のための設備を準備しようとすると莫大な金額がかかってしまいます。
コストが削減できる
オンプレミスはサーバーなどのハードウェアやソフトウェア、ライセンスなどを購入する初期費用が必要となります。
また、安全にデータを保管しておくために頑丈な設備や監視するエンジニアをそろえなければなりません。
例えば、データセンターと同等の耐震性や防火性、非常時の電力供給や空調設備、24時間保守を行うエンジニアなどです。
一方でクラウドサービスは、サーバーを購入する初期費用や、情報システムを自社で管理する管理費が浮くため、オンプレミスと比較してコストを抑えることができます。
ハードウェアの管理・保守が不要
ハードウェアの管理・保守はクラウドサービスの提供事業側が行います。
自社では行う必要がないため、ハードウェアに対する専門知識が多くなくてもシステムやアプリケーションの開発を行うことができます。
また運営・保守を行うエンジニアの人件費やハードウェアを管理する施設にかかる費用を抑えることも可能です。
スケールアップ・ダウンしやすい
オンプレミスは自社でサーバーなどの機器やそれらを管理する施設を用意する必要があります。
しかし必要な分をその都度追加することは難しいです。
そのため、先を見越して多めに準備しておいたり、逆に事業が拡大するにつれて設備が足りなくなり増築や機器の追加購入を検討する必要があります。
その点、クラウドサービスはインターネットがあれば必要な分だけその都度購入し、利用シーンに合わせてメモリやストレージといったリソースを変えることが容易にできます。
デメリット
- ・インターネット環境の影響を受けやすい
- ・カスタマイズに制限がある
インターネット環境の影響を受けやすい
クラウドサービスはインターネットを通じて利用できるサービスであるため、インターネットの影響をダイレクトに受けます。
インターネットが利用できない状態になれば、クラウドサービスも利用することが出来ません。
また、システムのトラフィックが増加すれば、ネット回線の負担も増加し、通信速度が遅くなる可能性もあります。
カスタマイズに制限がある
オンプレミスの場合は開発に関わる全てを自社で用意するため、使用するサーバーなどのハードウェアから、OSやミドルウェアなどのソフトウェアまで全てを自社で決めることができます。
しかしクラウドサービスを利用すると、開発で利用するハードウェア、ソフトウェアはクラウドサービスの提供企業側が用意するため全てを自社でカスタマイズすることは出来ません。
希望通りのサービスがない場合は妥協点を見つける必要があります。
2.SaaSとは
SaaS(サース、サーズ)とは、「Software as a Service」の略称です。
簡単に説明すると、Webサービスをクラウド化したものです。
インターネット上で利用できるソフトウェア(アプリケーション)を提供しています。
2-1.SaaSの概要や特徴
SaaSは、Webサービスをクラウド化し、クラウド上に構築されたソフトウェア(アプリケーション)をインターネットに接続できる環境であればどこでも利用できるサービスです。
クラウドサービス使用の際にPaaSやIaaSは開発する必要がありますが、SaaSは開発済みのものを提供しているため、自身での開発は必要ないと覚えておくと良いでしょう。
例えば、スケジュール管理や会計、チャットなど多種多様なサービスが提供されています。
基本的にSaaSのサービスは業務効率化のために使用されることが多いです。
既にソフトウェア機能が完成されており、IDやパスワード作成などの契約が完了したらすぐに使い始められるので、システム開発などの知識がない方も使用しやすいでしょう。
住宅で例えると、土地と建物は用意されており、すぐに住み始めることができるイメージです。
2-2.SaaSのサービス例一覧
基本的に、IDとパスワードがあればログインすることができ、インターネットがあればサービスの利用が可能です。
SaaSのサービスは現在市場規模が急激に拡大しており、所属している企業や個人でも使用したことがある方が多いため、馴染みがあるかもしれません。
SaaSのサービス例
- ・GmailなどのWebメール
- ・ZoomやMicrosoft TeamsなどのWeb会議システム
- ・iCloudやOneDriveなどのオンラインストレージ
- ・ChatworkやWowTalkなどのビジネスチャット
- ・CrowdLogやBacklogなどのタスク・プロジェクト管理
- ・マネーフォワード クラウド会計や弥生会計オンラインなどの会計ソフト
- ・ジョブカン勤怠管理やKING OF TIMEなどの勤怠管理
2-3.SaaSの用途
SaaSの利用目的として、主に個人や企業の課題解決に使用されています。
特にコロナ禍でリモートワークが増え、離れた場所で仕事を進める上で使用されることが多くなりました。
SaaSは他のクラウドサービスと比較して、個人向けに作成されているシステムも多いです。
SaaSサービスの具体例として、LINE WORKSやChatworkなどのビジネスチャットがあります。
自社内のメンバーとチャットでコミュニケーションが図れ、グループを作成すれば同じ製作を進めている複数人で同時にコミュニケーションを図ることも可能です。
また、招待することでクライアントや協力企業などの社外の方との利用もできます。
他にもZoomやGoogle MeetなどのWeb会議システムは特にリモートワークが増えて使用される機会が多くなったSaaSサービスの1つです。
ビデオ通話や画面の共有ができるため、リモート会議やミーティングの際に使用されます。
さらに、インターネット上でオンラインで行うセミナーであるウェビナーの開催やオンライン授業などでも使用されています。
2-4.SaaSのメリット・デメリット
SaaSを利用した際のメリットとデメリット、SaaS提供側のデメリットについて解説していきます。
SaaS利用のメリット
- ・開発が不要
- ・かかるコストが比較的低い
- ・システム運用の負担が軽減
- ・高度なIT技術を導入・利用できる
- ・導入が簡単
開発が不要
SaaS以外のクラウドサービスであるPaaSとIaaSは自分たちで開発をしなければいけません。
そのため、システム開発の知識がないとサービスの利用は難しいでしょう。
一方でSaaSは既に開発済みのソフトウェア(アプリケーション)を使用できるため、開発の知識がなくても使用可能です。
また自社でシステムの開発を行う必要がないため、エンジニアなどの人件費や開発環境構築などの開発コストも削減することができます。
かかるコストが比較的低い
自社で開発する必要がなく、簡単な契約をした直後からSaaSサービスの利用ができるため、サービスの導入コストが低いです。
自分たちで開発を行うオンプレミスやPaaS、IaaSとなると、開発に必要な道具や人件費などの開発環境を整えるところから、使用説明書の作成や説明要員など、開発以外にも何かとお金がかかります。
またメンテナンスもサービスを提供している企業が行ってくれるため、メンテナンスコストをかけることなく最新状態の機能を利用できます。
システム運用の負担が軽減
自社でシステムやアプリケーションを開発した場合は、セキュリティ対策やバージョンアップ作業、不具合が生じた際の改善などのシステムの管理は自社で行わなければなりません。
しかし、SaaSを利用するとシステムの管理はベンダーがしてくれるため、自社でのシステムの運用や管理の負担を減らすことができます。
高度なIT技術を導入・利用できる
SaaSを提供している企業はシステム開発に高度なIT技術を所有している場合が多いです。
そのため、自社にシステムの開発を行うエンジニアが不在であったり、人手不足であったとしても、コストを抑えながら高度なIT技術を導入・利用できます。
導入が簡単
SaaSはインターネットがあればオンライン上で手軽にサービスを導入することができます。
また料金を支払うと決められた期間は使用できる、サブスクリプション方式でSaaSサービスを利用することができます。
一つ一つ購入する必要がなく、利用のために機器を購入する必要もないため、一定期間利用して使いづらかったら別のサービスに容易に切り替えることも可能です。
SaaS利用のデメリット
- ・自社独自のカスタムはできない
- ・データの移行は難しい
- ・ランニングコストがかかる場合がある
自社独自のカスタムはできない
基本的に提供されているサービス以外のサービスをカスタマイズして使用することはできません。
そのためオンプレミスやPaaS、IaaSなどの自社開発のように自社仕様にカスタムしたり、パッケージ商品のように一定のカスタムもするのは難しいです。
よって、自社の業務に適したサービスが見つからない場合、SaaS以外のサービス利用方法を探すか、提供されているサービスの仕様に合わせて、企業の運用や業務形態などを変更する必要があります。
データの移行は難しい
現在利用しているSaaSから他のサービスに移行する場合、今まで使用していたデータを移行しなければいけません。
しかしSaaS間や他のサービスとのデータのやりとりは困難です。
そのため、一度導入し、利用したSaaSを変更するのは難しいでしょう。
ランニングコストがかかる場合がある
ランニングコストとはサービスの利用に料金が発生する場合に、サブスクリプションなどの定期的な支払にかかる費用のことです。
月額で使用料がかかる場合などはSaaSのサービスを利用し続ける限りランニングコストがかかります。
SaaSサービスの使用量や期間によっては、買い切りや自社開発よりもかかる費用が高くなる可能性もあります。
SaaS提供のデメリット
- ・サービス開発の初期コスト・リスクが大きい
- ・常にアップデートやコンテンツ作成が必要
サービス開発の初期コストが大きい
開発環境を整えるところから始まり、SaaSサービスの開発が終わるまで、人件費や機器の購入などに多額の費用がかかります。
しかし開発が終了しても、リリースして事業が軌道に乗り、採算が取れるまでは多くの時間がかかります。
またSaaSサービスを提供しても必ず利用してもらえるというわけではありません。
そのため、提供しているSaaSサービスを知ってもらうために宣伝費などもかかる場合があります。
軌道に乗れば多くの利益を生み出すことができますが、その分開発のために大幅な初期コストがかかることや利用してもらえるか分からない点から、SaaSサービスを始めるリスクは大きいでしょう。
常にアップデートやコンテンツ作成が必要
近年コロナの影響もあり、SaaSサービスの市場は急成長を遂げています。
そこに目を付け、SaaS事業を展開する競合も次々と出てきています。
そんな中、新規顧客獲得や利用者を維持していくためには、独自のコンテンツの作成や適宜機能のアップデートなどをして周りと差をつける必要があります。
3.PaaSとは
PaaS(パース)とは、「Platform as a Service」の略称です。
簡単に説明すると、システムやアプリケーションを開発するための開発環境のプラットフォームを提供するサービスのことです。
3-1.PaaSの概要や特徴
システムやアプリケーションを開発するためには、開発を始める前にネットワークやハードウェア、OSなどの開発するための環境を整えなければいけません。
PaaSは開発に必要な高性能な開発環境がクラウド上に構築されています。
そこでPaaSを導入することで、開発のための事前準備に時間をかけることなく、すぐに開発を始めることができるようになります。
自分好みにカスタマイズ出来ないSaaSと比較して、PaaSは自分たちで開発を行うため、好きな機能を取り入れることができます。
またIaaSは一定の開発環境は自分たちで構築する必要がありますが、PaaSは開発に必要なものは全てそろえられているため、すぐに開発に取り掛かることができます。
住宅で例えると、すぐに建物を建設できる、整備されている土地を提供してくれているイメージです。
3-2.PaaSのサービス例一覧
下記などのPaaSサービスのプラットフォーム上で開発を行うことができます。
- ・Amazon Web Service (AWS)
- ・Microsoft Azure
- ・Google Cloud Platform
システムやアプリケーションの開発・実行で使用するサービスで、開発する機会がないとなかなか触れることのないサービスなので知らない方も多いかもしれません。
3-3.PaaSの用途
開発環境の構築はPaaS提供企業で行っています。
そのため、設定された開発環境の中でも開発可能な、要件(システムに組み込む要望・希望)の多くない、システムやアプリケーションの開発やデータ分析などに利用されます。
主に、WebサービスやSaaSを開発、提供している企業で利用されることが多いです。
PaaSを導入することで、開発前の開発環境構築に時間をかけることなく、開発業務ができます。
また、開発に必要な機器や非物理的な設備も含め、インフラの保守・運用はPaaS提供会社が行うため、インフラの安定のためにエンジニアを割く必要がなくなります。
その結果、開発業務に専念することができるでしょう。
3-4.PaaSのメリット・デメリット
PaaSを利用した際のメリットとデメリットについて解説していきます。
PaaS利用のメリット
- ・開発時間を短縮できる
- ・初期費用・管理費が削減できる
- ・開発に専念できる
開発時間を短縮できる
まず、システムやアプリケーションを開発するためにはインフラの構築・運用をする必要があります。
そもそもインフラとは、主にハードウェアとソフトウェアの2つの要素から成り立っています。
ハードウェアとは、パソコンやサーバー、ネットワークなどの物理的な設備のことをいいます。
ソフトウェアとは、ハードウェアを動かすためのシステムで、OSやミドルウェアのことです。
PaaSを導入することにより、インフラの構築や運用(サーバーやCPUを購入・設置し回線を手配して接続し、OSなどをインストールして必要な設定を行うといった過程など)がいらないため開発のみに専念でき、結果として開発にかかる時間を短縮することができます。
初期費用・管理費が削減できる
PaaSを利用することで、開発環境が既に完成したものを利用することができるため、ハードウェアやOSなどの開発環境を準備する初期費用が削減できます。
また、開発・運用に必要な機器などのプラットフォームは、すべてPaaSを提供しているクラウドサービス提供事業者が管理するため、プラットフォームの管理費の削減にもつながります。
開発に専念できる
開発環境の設定や運用・保守などはPaaS提供事業者が行うため、システムやアプリケーションの開発・運用以外の業務にエンジニアや時間を割く必要がなくなります。
その分開発にエンジニアや時間を割くことができ、開発に専念することができるようになります。
PaaS利用のデメリット
- ・セキュリティ対策に注意が必要
- ・別のPaaSへの移行が難しい
- ・自由度が低い
セキュリティ対策に注意が必要
セキュリティ対策はPaaSを提供しているベンダー側の管理になるため、利用するPaaSのベンダー次第です。
そのため、ベンダー側にウイルスなどが侵入しシステムを乗っ取られてしまうと、PaaSを利用しているユーザー側が開発したシステムやアプリケーションの情報が流出してしまう恐れがあります。
よって、PaaSを利用する際は、ベンダーが十分なセキュリティ対策を行っているのかに注意が必要です。
また、ベンダーにトラブルが発生した場合はPaaSサービスが停止してしまう可能性もあります。
PaaSサービスの停止により最悪の場合、PaaSで開発したサービスも停止してしまう恐れもあります。
別のPaaSへの移行が難しい
開発環境や実行基盤はベンダーが提供しているPaaSによって異なります。
特定のPaaS環境への依存が高まってしまうと、もし別のPaaSサービスへ移行するとなった際に、新しい環境での開発に慣れるまで大幅な時間がかかってしまうなどのリスクがあります。
このように別のPaaSに簡単に移行するのが難しくなってしまうため、PaaSを導入する際は慎重に選びましょう。
自由度が低い
PaaSはオンプレミスやこの後説明するIaaSと違い、サービス提供事業者側が開発環境の全ての構築を行います。
そのためオンプレミスやIaaSと比較すると、自分たちでカスタマイズできる範囲は狭く、開発環境の自由度は低くなってしまうでしょう。
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4.IaaSとは
IaaS(イアース、アイアース)とは、「Infrastructure as a Service」の略称です。
簡単に説明すると、インターネット上で、カスタマイズ可能なインフラと開発環境を提供しているサービスのことです。
4-1.IaaSの概要や特徴
IaaSとは、ストレージやサーバー、ネットワークといった基本的なインフラ部分を利用できるサービスです。
IaaSの導入により、自社で機材を購入、構築・運用する必要がなくなります。
そしてインターネット上の契約で、システムやアプリケーション開発に必要な情報システムを必要なだけ利用できるようになります。
仮に、経年劣化でハードウェアの買い替えや、事業拡大のために開発環境の増築を考えた際に、IaaSを利用していれば、新たな機材購入や、運用場所の確保、接続業務などを行う必要はなくなります。
その結果、開発業務に割く時間やコストを増やすことができるでしょう。
しかしハードウェアリソースだけが提供されるIaaSでは、利用者側でOSやミドルウェアなどの開発環境の設定をいくつか行う必要があるため、IaaS導入後にすぐに開発に移ることはできません。
言い換えると、導入するIaaSによってカスタマイズできる範囲は異なりますが、利用するサーバーのスペックやOSなどを自由に選択して利用者好みに構築することができます。
住宅に例えると、既に整備されていない土地は準備できているため、自分たちで土地から建物まで、全てのカスタマイズをすることができるイメージです。
4-2.IaaSのサービス例一覧
下記などのIaaSサービスのプラットフォーム上で開発を行うことができます。
PaaS同様、システムやアプリケーションの開発・実行で使用するサービスで、開発する機会がないとなかなか触れることのないサービスなので知らない方も多いかもしれません。
- ・Amazon Web Service (AWS)
- ・Microsoft Azure
- ・Google Cloud Platform
PaaSのサービス例を見てみると、IaaSのサービス例と同じ内容になっています。
分かりやすく説明すると、Amazon Web Serviceの中に200種類以上のサービスがあり、「PaaS」か「IaaS」のどちらのサービスを利用するかが選択できるようになっています。
4-3.IaaSの用途
サーバーやストレージ、ネットワークといった機材は、IaaS提供企業で購入・運用・保守が行われます。
しかし、サーバーのスペックやOSは利用者側が自由に決めることができます。
そのため、特に自由度やカスタム性が求められる、システムやアプリケーションの開発で利用されることが多いです。
ですがカスタム性が高い一方、開発環境を利用者側で構築する必要があるため、専門的な技術が必須となります。
4-4.IaaSのメリット・デメリット
IaaSを利用した際のメリットとデメリットについて解説していきます。
IaaS利用のメリット
- ・開発環境構築の自由度が高い
- ・コストが削減できる
- ・システムの拡張・縮小が柔軟に対応可能
開発環境構築の自由度が高い
SaaSやPaaSと異なり、IaaSはインフラを利用者がカスタマイズすることができます。
そのため、他のクラウドサービスよりも開発環境を利用者の用途に合わせて好きなように設定することができることができます。
コストが削減できる
他のクラウドサービスは決められた環境の中から使用したいサービスを選ぶため、提供されているサービス内容と自分たちが利用したい内容とで多少のずれが生じる可能性が高いです。
一方でIaaSは、インフラを利用者側がカスタマイズすることができるため、余分なスペックの料金を支払う必要がなくなります。
また契約後も必要に応じて都度リソースを追加することができるため、オンプレミスのように事業拡大を考え、事前に機器を多めに見積もって準備する必要もありません。
システムの拡張・縮小が柔軟に対応可能
オンプレミスで開発を行う場合、インフラの機能やスペック、容量を変更したいときは保有しているハードウェアの買い替えや追加購入などをする必要があります。
しかしIaaSを導入して開発を行えば、インターネット上の簡単な手続きのみでシステムの拡張や縮小を行うことが可能です。
IaaS利用のデメリット
- ・専門知識が必要
- ・運用・保守に労力を割く必要がある
- ・自社でセキュリティ対策をする必要がある
専門知識が必要
IaaSはインフラを利用者側でカスタマイズできる反面、カスタマイズ可能な専門的な知識が求められます。
もし社内に専門知識を有した人材がいない場合は、専門知識のある人材を育成するか、採用する必要があります。
運用・保守に労力を割く必要がある
IaaSはカスタマイズ性に優れ、自由度が高くなる半面、利用者側で管理する運用・保守範囲が増えます。
具体的に増える管理範囲例は以下のようになります。
- ・プログラミング言語の管理
- ・データベースの管理
- ・OSのリソースの管理(CPU・ストレージ容量・メモリ)
利用するベンダー(IaaS提供企業)によっては運用支援をしてくれるサービスを提供しているため、ある程度運用負担を減らすことも可能です。
自社でセキュリティ対策をする必要がある
基本的にIaaSの提供者側が担保してくれるセキュリティの範囲はインフラ周りのみです。
自社でセキュリティ対策をする必要がある範囲例として以下が挙げられます。
- ・Webアプリケーション
- ・ミドルウェア
- ・OS
具体的には、ミドルウェアやOSの脆弱性を狙われ、情報漏洩してしまうといったリスクがあります。
運用負担も大きくなるため、運用を行う技術者を増やしたり、セキュリティのサポートを行ってくれるベンダーを選ぶなど、適切なセキュリティ対策を行える環境を整えましょう。
5.PaaSとIaaSの違い
PaaSサービスには、開発に必要な開発環境(ミドルウェアやOS含む)が含まれています。
そのため、PaaSは導入後にすぐに開発に移ることができます。
IaaSはPaaSと比較して、導入後すぐに開発に移ることはできません。
なぜなら、IaaSサービスはサーバーなどの機器とネットワークといった基盤だけが提供され、ミドルウェアやOSはサービス内容に含まれていないからです。
IaaSはあくまでも機材だけを借りてくるイメージで、導入してすぐにアプリケーションを動作させたり、開発を行ったりすることはできません。
分かりやすくまとめると、PaaSではサービス提供企業が土台(インフラ)を準備してくれていましたが、IaaSの場合は利用者側で土台(インフラ)の環境も作っていく必要があります。
自由度 |
運用コスト |
運用・保守の労力 |
初期コスト |
専門性 |
自社でのミドルウェア・OSの設定 |
|
PaaS |
低い |
低い |
低い |
高い |
低い |
不要 |
IaaS |
高い |
高い |
高い |
低い |
高い |
必要 |
6.まとめ
SaaSとは、Webサービスをクラウド化したもので、インターネット上で利用できるソフトウェア(アプリケーション)を提供しているサービスです。
基本的に、IDとパスワードがあればログインすることができ、インターネットがあればサービスの利用ができます。
SaaSサービスの利用目的としては、主に個人や企業の課題解決に使用されています。
次にPaaSとは、システムやアプリケーションを開発するための開発環境のプラットフォームを提供するサービスです。
PaaSを利用することで、開発環境を準備する必要がなく、すぐに開発を始めることができます。
PaaSサービスの利用目的として、要件の多くない、システムやアプリケーションの開発やデータ分析などに使用されます。
最後にIaaSとは、ストレージやサーバー、ネットワークといった基本的なインフラ部分を利用できるサービスです。
自社で機材を購入、構築・運用する必要がなくなり、導入するIaaSによってカスタマイズできる範囲は異なりますが、利用者が利用するサーバーのスペックやOSなどを自由に選択して利用者好みに構築することができます。
オンプレミスとクラウドサービスであるSaaS、PaaS、IaaSの比較としては、以下の画像のようになります。
オンプレミスは開発に必要なハードウェアから全て自社で準備し、管理する必要があります。
クラウドサービスであるIaaSは、ハードウェアを自社で準備、管理する必要がなくなります。
PaaSは、OSやミドルウェアなどの開発環境の設定を自社でする必要がなく、システムやアプリケーションの開発・運用のみを行うことができます。
そしてSaaSは、システムやアプリケーションの開発や運用を行う必要がなく、開発済みのものを利用することができます。
クラウドサービスであるSaaS・PaaS・IaaSは就活や転職活動の面接で聞かれることもあるので、この内容を理解したうえで面接に挑みましょう。
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はじめに職歴をお聞かせください。
この記事の監修者
エンジニア
大学卒業後、新卒で不動産会社に就職。その後23歳で開発エンジニアにキャリアチェンジし、3年間大手Slerにて様々な開発に携わる。その後、インフラストラクチャー企業にて人材コンサルタントとして経験を積み、株式会社ユニゾン・テクノロジーを創業。現在の代表取締役