準委任契約とSES契約の違いとは?やばい企業の特徴も併せて紹介!
準委任契約とSES契約にはどんな違いがあるの?
SES契約以外の契約ってどんなものがある?
✓本記事の流れ
- ・準委任契約とSES契約の違いとは?
- ・こんな企業は要注意!やばい企業の特徴
- ・転職するなら転職エージェント!
準委任契約やSES契約について、その単語は聞いたことがあるけど内容についてはよく分からないという方も多いのではないでしょうか?
本記事ではそれらの違いはもちろん、混同しやすいその他の契約についても分かりやすく解説しています。
SESに興味を持っている方は参考にしてみてください。
また、次の記事ではそもそもSESとは何なのかについて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
→SESとは?派遣との違いや働き方のメリットなどをわかりやすく解説!
目次
1.準委任契約とSES契約の違いとは?
まずは、IT業界で耳にする機会が多い「準委任契約」と「SES契約」の特徴について確認していきましょう。
1-1.準委任契約とは
法律行為を委託する契約である「委任契約」に対し、法律に関連しない行為を委託する契約が「準委任契約」です。
たとえば、弁護士や税理士などが法律行為を行う際に締結する契約は委任契約、プログラマーがシステム開発の際に締結する契約は準委任契約にあたります。
準委任契約は大きく2つに分かれます。
●成果完成型
成果完成型は「成果物の納品」をもって報酬が発生する契約形態です。
システム開発でいえば、完成したシステムの価値に応じた報酬が支払われます。
納品をもって報酬が発生するため、成果物が完成しなかった場合や、納品されなかった場合のリスクを軽減できるのがメリットです。
●履行割合型
履行割合型は「業務時間や工数」を報酬の対象とする契約形態です。
人手が不足している工数を重点的に手伝ってもらう、といった柔軟な契約が可能ですが、成果完成型と違って思うような成果を得られなくてもコストが発生するデメリットがあります。
1-2.SES契約とは
SESは「システムエンジニアリングサービス」の略称で、SES契約はIT業界特有の契約形態です。
エンジニアの労働力を契約の対象とし、クライアント企業の開発現場に技術を提供する約束を交わします。
IT業界では、このサービスを提供する企業を「SES企業」、SES企業で働くエンジニアを「SESエンジニア」と呼ぶことがあります。
SES企業ではまず、エンジニアはSES企業の従業員として雇われたのちに、クライアント企業に派遣されるのが大まかな流れです。
雇用主はSES企業ですが、実際に働く場所はクライアント企業になります。
- 「SES企業で働くことを考えてるけど、不安……」
- 「SES企業に応募するなら何に気をつければいいんだろう?」
このような悩みを抱えている方は、一度IT特化型の転職エージェントを利用してみてはいかがでしょうか。
IT特化型の転職エージェントは無料で利用できる転職サポートサービスです。利用すると企業の情報収集を効率よく行えるため、SES企業で働くことを考えている人にもおすすめできます。
1-3.準委任契約とSES契約の違いとは
SES契約は準委任契約の1つであり、同義と捉えられます。
SES契約にも「成果物の納品後に報酬を支払う」成果完成型の契約と、「作業時間あたり〇〇円」のような履行割合型の契約があります。
準委任契約と同じ性質を持っているため、「SES契約=準委任契約」と考えて問題ありません。
2.準委任契約(SES契約)とその他の契約
エンジニアは準委任契約以外にも、結ぶ可能性のある契約形態があります。
知識不足によってトラブルに巻き込まれないよう、IT業界ではどんな契約形態があるのかを把握しておきましょう。
エンジニアへの転職を考えている方はもちろん、将来的にフリーランスを目指す可能性のある方は特に、それぞれの違いを正しく理解することが大切です。
2-1.委任契約
委任契約は法律行為を委託する契約形態です。
法律行為とは、何らかの意思表示によって権利や義務が発生する行為のことです。
たとえば、コンビニでお弁当や飲み物を買う「売買契約」が法律行為として挙げられます。
こうした法律行為を、弁護士や税理士などの第三者に代わりに担当してもらうのが委任契約です。
準委任契約との違い
- ・委任契約…法律行為を委託する契約
- ・準委任契約…法律に関連しない行為を委託する契約
準委任契約との違いは、法律行為の有無にあります。
エンジニアは基本的に法律行為にあたらない業務を担当するため、委任契約を結ぶ機会はまずありません。
2-2.請負契約
請負契約は「完成した成果物の納品」によって報酬が支払われる契約形態です。
準委任契約の成果完成型との違い
- ・請負契約‥契約不適合責任
- ・準委任契約の成果完成型‥善管注意義務
成果物の納品に対して報酬が発生する点は準委任契約の成果完成型と同じですが、両者には契約不適合責任の有無に違いがあります。
契約不適合責任とは、納品できなかったときや、成果物に不備があったときに発生する法的責任のことです。
請負契約でこのようなケースに陥った場合、クライアント企業は受託側に対して成果物の修正依頼や報酬の減額、損害賠償を請求する権利があります。
2-3.派遣契約
派遣契約は、派遣元企業がスキルを持つ人材を別の企業に派遣する契約形態のことです。
IT業界ではプロジェクトごとに必要なスキルが異なるため、局所的に人材を活用できる派遣契約がよく見られます。
準委任契約との違い
- ・派遣契約‥派遣先企業に指揮権
- ・準委任契約‥受託側に指揮権
人材を派遣する点は準委任契約(SES契約)と同じですが、両者には指揮権の所在に違いがあります。
準委任契約では受託側が指揮権を持つのに対し、派遣契約における指揮権の所在は派遣先企業です。
つまり、プログラマーとしてある企業に派遣された場合、その企業の上司から指示を受けながら業務を進めることになります。
2-4.雇用契約
労働者が雇用主のもとで働き、その働きに対して賃金が支払われる契約形態が雇用契約です。
正規雇用はもちろん、パートやアルバイトなどの非正規雇用も雇用契約に含まれます。
準委任契約との違い
- ・雇用契約‥企業と労働者の間に主従関係が生まれる
- ・準委任契約‥受託側とクライアント企業の関係は対等
準委任契約との違いは対等性の有無です。
企業と雇用契約を結ぶ場合は労働者となるため、労働者が企業の命令や指示に従って働く「主従関係」が生まれます。
一方の準委任契約では、受託側とクライアント企業の関係は対等です。
たとえば、ある企業がSIerにシステム開発を依頼した場合、要望は伝えられても、業務の進め方や作業場所に関する命令はできません。
2-5.業務委託契約
業務委託契約は、請負契約・委任契約・準委任契約などの総称です。
クライアント企業が外部の第三者に対し、何らかの業務を委託する契約形態のことを指します。
業務委託契約の目的は主に「コスト削減」と「人手不足の解消」の2つです。
たとえば、「新規事業を起こしたいけど、人手不足が障壁となっている」といったケースで、業務委託契約で外部の力に頼る場合があります。
専門性の高い人材を特定の分野で採用できることから、フリーランスが仕事を受注する際に頻繁に見られる契約形態です。
3.契約形態における義務や責任
契約形態についてなんとなく理解しているだけでは、うっかり法令に抵触してしまい、トラブルに発展するリスクが高まります。
自分がどんな契約を結んでいるのかきちんと把握して業務を進めるためにも、契約形態における義務や責任について正しく理解しておきましょう。
業務委託契約の中でも、委任契約(準委任契約)と請負契約では受託側の負う義務・責任が異なります。
3-1.善管注意義務
善管注意義務は、委任契約および準委任契約において発生する義務のことです。
客観的に見て通常要求される程度の注意義務のことで、簡単に言えば「当たり前のことは当たり前にすべき」という考え方です。
たとえば、履行割合型の準委任契約で職務怠慢が見られた場合、善管注意義務に違反していると捉えられます。
違反した場合は、委託者であるクライアント企業から契約解除を言い渡されたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。
3-2.契約不適合責任
契約不適合責任は、請負契約において発生する責任です。
納品した成果物に問題があった場合に契約不適合と見なされ、受託側はクライアント企業に責任を負う必要があります。
契約不適合と見なされたときの具体的な対応方法としては、成果物の修正や補完、報酬の減額、損害賠償などが一般的です。
成果完成型の準委任契約も請負契約と同様に「成果物の納品」を報酬の対象としていますが、請負契約のような契約不適合責任はありません。
4.準委任契約(SES契約)のメリット
転職先を考える際に欠かせないのが、「エンジニアにとってどんな働くメリットがあるのか」ですよね。
ここでは準委任契約(SES契約)のメリットを紹介するので、今の契約形態とどんな違いがあるのか、自分が希望する働き方に合っているのかを考えてみてください。
4-1.経験を積むことができる
準委任契約のエンジニアはIT業界に限らず、様々な業界に派遣される可能性があります。
デジタル技術の需要が高まっている自動車業界や化学業界、金融業界など、幅広い業界で経験を積めるのが働くメリットです。
期間は契約によって異なりますが、1つのプロジェクトが完了すれば、また新しいクライアント企業で働くことになります。
定期的に環境を変えながら経験を積んでいける点が、自社のシステムや製品を開発する雇用契約との違いです。
クライアント企業が変わるごとに新しい環境に適応したり、新しい業務を覚えたりする難しさはありますが、仕事に新鮮さを求める方にはぴったりな契約形態です。
4-2.人脈を広げやすい
環境が変われば一緒に働く人の顔ぶれも変わります。
クライアント企業のエンジニアや、さらに別の企業から派遣されてきたエンジニアなど、他企業の人とつながりを持てるのが準委任契約のメリットです。
どんなプロジェクトを担当するにしても、業務はチーム単位で進めるのが一般的です。
異なる立場や年齢、考え方の人との関わりを通じて、コミュニケーション能力と協調性を身につけられます。
また、広い人脈があれば自分のスキルアップやキャリアアップにつながるメリットもあります。
様々な業界や企業の人と関わりを持つことで、魅力的な仕事の機会に巡り合えるチャンスがあるかもしれません。
4-3.未経験から挑戦しやすい
準委任契約を基本とするSES企業は自社開発企業ほど競争率が高くなく、未経験から挑戦しやすい傾向にあります。
専門性が求められる影響で未経験からのハードルがやや高いエンジニアでも、目指しやすいのがメリットです。
未経験から挑戦しやすい理由
- ・ITエンジニアの不足
- ・自社開発企業より競争率が低い
- ・多くのエンジニアを確保する必要がある
SES企業は、クライアント企業にエンジニアの労働力を提供して収益をあげています。
多くのエンジニアを確保してビジネスモデルを成立させる必要性から、未経験者も積極的に採用して育成しようとする企業が見られます。
5.準委任契約(SES契約)のデメリット
様々なメリットがある準委任契約(SES契約)ですが、その裏には少なからずデメリットもあります。
転職先を決める際はメリットだけにとらわれず、デメリットも含めて検討するようにしましょう。
準委任契約で特に注意したいのは、「収入が安定しない」「環境の変化が激しい」の2点です。
5-1.収入が安定しない
SES企業は主に下請けの仕事を担当するため、収入が低い・安定しない傾向にあります。
多重下請け構造では、下層に行くほど仲介企業が増えて手数料が加算されてしまうのが要因です。
また、個人事業主やフリーランスとしてクライアント企業と直接準委任契約を結ぶ場合は、最低賃金が保障されないという問題があります。
最低賃金制度は企業で働く「労働者」を対象とするものであって、準委任契約の受託側には当てはまらないためです。
個人事業主やフリーランスは、病気・ケガによって休めば休むほど収入が減ってしまう点を考慮する必要があります。
5-2.環境の変化が激しい
SES企業では派遣先のクライアント企業が頻繁に変わるため、働く環境が安定しません。
プロジェクトの内容によっては新しい業務を覚える必要があるうえ、自分の所属する企業に帰属意識を持ちにくい点に注意しましょう。
変化が激しいのは働く環境に限った話ではなく、生活環境にも同じことが言えます。
今住んでいる場所からの引っ越しが必要な勤務地に派遣される場合は、新しい街や生活リズムに慣れていかなければなりません。
環境の変化は、適応力の高い人にとっては働く魅力となるかもしれませんが、変化が苦手な人にとってはストレスになりがちです。
SES企業への転職を考えている方は注意してください。
6.こんな企業はやばい!準委任契約(SES契約)の注意点
以下に紹介する特徴に当てはまる企業は避けましょう。
自分が気づかないままに法的リスクを負うはめになったり、希望する業務とは異なる業務を担当させられたりする可能性があります。
6-1.偽装請負を行っている
偽装請負とは、準委任契約を結んでいるにもかかわらず、労働者派遣のような実態にあることを指します。
たとえば、本来指揮権がないはずのクライアント企業にエンジニアへの指示や命令を許可しているSES企業は避けましょう。
ただのミスや不注意であっても、こうした企業は偽装請負にあたると判断されます。
法令違反による罰則を科される可能性が高く、所属するエンジニアにも悪影響を及ぼしかねないので注意してください。
偽装請負と判断されないためには、業務の管理方法や評価方法の明確化が重要です。管理や評価が曖昧ではなく、明確な基準をもとに行っている企業を選びましょう。
6-2.家電量販店やコールセンターに派遣させる
中には、「未経験歓迎」「エンジニア募集」などと謳っておきながら、いざ入社すると家電量販店やコールセンターに派遣する企業が存在します。
このような悪質な企業ではエンジニア業務を担当させてもらえる可能性は低いため、誤って入社しないよう注意しましょう。
エンジニアに関係のない業務ばかりではスキルアップにつながらないばかりか、経歴の傷になってしまいます。
ただ、求人の情報だけを見て悪質な企業を見極めるのは困難です。
優良企業なのか、それとも悪質な企業なのか見分けがつかない場合は、転職エージェントを利用するようおすすめします。
6-3.経歴詐称を強要される
経歴詐称を強要する企業にも注意が必要です。案件を獲得するため、従業員の経歴を偽って自社を魅力的な会社に見せる企業が存在します。
- 「研修の経験しかないのに、「エンジニア経験3年」と書けと言われた」
- 「関わったことのないプロジェクトの経験ありと書かされた」
こうした企業ではクライアント企業からの信用を失ってしまううえ、場合によっては訴訟につながるリスクがあります。
契約時点ではバレなくても経歴詐称はいずれ必ずバレるため、入社しないようにしましょう。
7.転職するなら転職エージェントがおすすめ
転職活動を効率的に進めるため、転職エージェントを利用しましょう。
転職エージェントでは企業選びや選考対策など、1人では何かと大変な準備を包括的にサポートしてもらえます。
転職エージェントのメリット
- ・経験豊富なキャリアアドバイザーに相談できる
- ・非公開求人を紹介してもらえる
- ・企業の内情がわかる
- ・書類添削、面接対策をしてもらえる
- ・企業との交渉を代行してもらえる(入社日の調整、年収交渉など)
中でも、ITエンジニアに特化した転職エージェントであれば、準委任契約やSES企業についてより詳しい情報を得られます。
7-1.ユニゾンキャリア
ユニゾンキャリアは、ITエンジニア特化の転職エージェントです。
ITエンジニアのみに絞った求人を取り扱っており、IT業界に精通したキャリアアドバイザーが相談から内定獲得まで継続的にサポートしてくれます。
ユニゾンキャリアの特徴
- ・キャリアアドバイザー全員がIT業界に精通
- ・ITエンジニアのみに絞った豊富な求人
- ・業界研究、書類添削、面接対策などの徹底した選考対策
- ・完全無料のITスクール「ユニゾンカレッジ」を利用可能
「未経験から」「経験者のキャリアアップ」「新卒の就職」といったように、あらゆる人のニーズに対応しているのも特徴です。
特にエンジニア未経験者へのサポートが充実しているため、これからエンジニアを目指そうとしている方はぜひ利用を検討してみてください。
7-2.レバテックキャリア
レバテックキャリアは、IT・Web業界のエンジニアとクリエイター専門の転職エージェントです。
「Web企業」「SIer」「インフラエンジニア」などの職種別のキャリアアドバイザーが在籍しており、自分の志望に合わせたサポートを受けられます。
レバテックキャリアの特徴
- ・職種別キャリアアドバイザーが在籍
- ・約50職種、90スキルで求人を検索可能
- ・登録なしで利用できる年収診断
また、開発現場のリアルな情報を豊富に有している点も強みです。
細かな業務内容や職場で実際に働くメンバーの雰囲気など、求人情報だけでは見極めづらいリアルな情報を敏感に収集しています。
7-3.リクルートエージェント
リクルートエージェントは、株式会社リクルートが運営する転職エージェントです。
「エンジニア・IT転職」「MRの転職」「第二新卒の転職」などの専門サイトがあり、志望職種や自分の状況に応じたサポートを受けられます。
リクルートエージェントの特徴
- ・職種別、状況別の専門サイト
- ・関東を中心に全国16箇所の拠点
- ・業界最大級の求人数
全国に16箇所のオフィスがあるのもリクルートエージェントの特徴です。
北海道から福岡県までの幅広い地域にオフィスがあり、キャリアアドバイザーと直接顔を合わせて相談しやすい環境が整っています。
8.まとめ:SES契約は準委任契約の1つ
契約形態には様々な種類があるため混同しがちですが、SES契約は準委任契約の1つです。
委任契約や請負契約などのほかの契約形態と合わせて特徴を押さえておきましょう。
・委任契約
法律行為を委託する契約。成果完成型と履行割合型に分かれる。
・準委任契約
法律に関連しない行為を委託する契約。成果完成型と履行割合型に分かれる。
・請負契約
成果物そのものを報酬の対象とする契約。
・業務委託契約
委任契約、準委任契約、請負契約の総称。
・派遣契約
別の企業に人材を派遣する契約。指揮権の所在は派遣先企業。
・雇用契約
雇用主が労働者の働きに対して報酬を払う契約。正社員が代表的。
契約形態は非常に複雑なため、何が何だかわからない方も多いと思います。
それぞれの雇用形態にはどんなメリットがあり、何に注意すべきか詳しく知りたい方は、ぜひユニゾンキャリアにご相談ください。
このようなことで
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こんにちは!
はじめに職歴をお聞かせください。
この記事の監修者
エンジニア
大学卒業後、新卒で不動産会社に就職。その後23歳で開発エンジニアにキャリアチェンジし、3年間大手Slerにて様々な開発に携わる。その後、インフラストラクチャー企業にて人材コンサルタントとして経験を積み、株式会社ユニゾン・テクノロジーを創業。現在の代表取締役