有給を取れないSES社員必見!拒否された場合の対応と適切な活用方法|SES
客先に有給申請を拒否された…
有給を取りたいけど、申請できる雰囲気じゃない….
✓本記事の流れ
- ・SES・客先常駐で有給をうまく取得する方法
- ・SES・客先常駐で有給を拒否された場合の対応方法
- ・退職時に確執なく有給消化する方法
SES(客先常駐)で働いていると有給をとりたくても客先と自社の事情の板挟みになり、拒否されることがありますよね。
本記事ではSESエンジニアが有給を取得する方法から始まり、取得時のトラブルが起きた際の対処方法、退職時に穏便に有給を取得できる方法を解説しております。
SES・客先常駐の有給に関してよくある質問も解説しておりますので、有給に関して悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
関連記事:SES1年目でも転職は可能なのか?SESからの転職先も紹介
目次
1.SES・客先常駐で有給は使えるのか?
結論、有給は使えます。
SES・客先常駐は業界の構造上、有給を取得しにくいのは事実ですが、有給の取得は法律によって定められているので安心してください。
法律で定められている有給について3点解説します。
- ・有給取得の義務
- ・有給取得の条件
- ・有給の日時指定について
1-1.企業は有給を消化させる義務がある?
働き方改革により2019年4月1日から年5日間の有給消化することが企業に対し義務化されました。
5日間の有給消化をしない企業に対しては、30万円以下の罰金が課されることがあります。
政府が有給消化を義務化しているのです!
1-2.有給が取得できる条件
労働基準法39条を根拠に条件は「半年継続して雇われている」「全労働日の8割以上勤務している」の2つです。
企業は、2つの条件を満たす労働者に対して、原則として10日の年次有給休暇を与えなければなりません。
継続勤務年数によって、以下のような有給が付与されます。継続の勤務年数が長くなるにつれ、付与日数が増えるのはいいですね!
継続勤務年数 |
付与日数 |
6ヶ月 |
10日 |
1年6ヶ月 |
11日 |
2年6ヶ月 |
12日 |
3年6ヶ月 |
13日 |
4年6ヶ月 |
14日 |
5年6ヶ月 |
15日 |
6年6ヶ月以上 |
20日 |
参考データ:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
1-3.有給の日時指定は違法か?
企業側は有給の日時指定はできません。
「時季指定権」と言って、企業と社員の合意のもとで、有給の日時を決定することが原則です。
労働者側は、有給消化を自由に取得することが可能です。
企業側には、労働者の有給休暇の時季を変更できる「時季変更権」という権限がありますが、その行使はかなり限定されています。
「時季変更権」の利用は、同じタイミングで労働者が一斉に有給取得の申し入れがある場合など事業の正常な運営を妨げる場合に限ります。
2.SES・客先常駐で有給をうまく取得する方法
SES・客先常駐の方が、有給をうまく取得する3つのコツについて解説します。
- 1.有給申請は余裕を持って事前に伝える
- 2.報告は客先・自社の両方に伝える
- 3.申請理由として妥当なことを用意しておく
2-1.有給申請は事前に行う
急な休暇は仕事の調整が出来ず、迷惑をかけてしまうためです。周りとの関係が悪化すると次の有給取得が難しくなる可能性もあります。
会う約束をしていた友人にドタキャンされたら、その日どうしようってなりますよね。有給も同じように考えると良いです。
目安として、1ヶ月前(遅くとも2週間前)に有給申請をしましょう。常駐先も自社も早めに業務の調整ができるのですぐに報告するのが理想です。
特に決まりがない企業であれば、1日前に有給を取得できる企業もあります。
2-2.報告は客先と自社の両方に行う
SES・客先常駐エンジニアは「常駐先」と「自社」の双方に伝える必要があります。
厳密には、常駐先の許可をもらう必要はないですが、業務調整の観点のマナーとして必要になります。
常駐先の責任者がプロジェクトスケジュール・工数の責任を持っていることがほとんどです。そのため、常駐先の責任者に確認しましょう。
次に、常駐先の責任者に有給の許可をもらった旨を自社の責任者に報告すると、情報共有にかかる手間を減らすことができるので、おすすめです。
2-3.申請理由を考えておく
有給を取得するのに理由を伝える必要はないですが、聞かれた時やその場の雰囲気に合わせて建前の理由は言えるほうが良いです。
いくつか考えてみましたので、何か聞かれた際の答えとして持っておくと安全ですよ!
- ・スキルアップや資格取得のため
- ・通院のため
- ・地域の集会参加のため
- ・マンションの集会参加のため
- ・役所などでの手続きのため
- ・子供の行事参加のため
- ・家族と旅行にいく
何か聞かれた際に、当たり障りのない返しができるように準備しておくと安心です。
3.SES・客先常駐で有給を拒否された場合の対応方法
客先常駐で、有給を拒否されるケースがゼロではないのが現状です。
有給を拒否された場合の対処方法について5つのポイントでまとめました。
- 1 常駐先と話し合う
- 2 自社に協力を求める
- 3 労働基準監督署に相談する
- 4 常駐先を変更する
- 5 転職する
3-1.常駐先と話し合う
何が原因で取得できないかを確認しましょう。
例えば、プロジェクトの進捗の遅延が原因で有給を拒否している場合は、有給のタイミングが悪いかもしれません。
一方で労働者が、事前に有給申請をしており、プロジェクトも正常に動いているのにも関わらず、企業が有給拒否をする場合、あなたは悪くありません。次に自社に相談しましょう。
3-2.自社(雇用元)に協力を求める
常駐先に有給を断られたことを自社へはっきりと伝え、有給を取れるよう求めましょう。基本的には、自社(雇用元)はあなたの味方です。
最悪の場合、自社が動いてくれないことがあります。自社は常駐先との関係で力関係としては、弱くなってしまうからです。
繰り返しになりますが、有給取得は義務化されています。あなたは悪くありません。常駐先・自社どちらに相談しても、有給が取れないようであれば次に紹介することを試しましょう。
3-3.労働基準監督署に相談する
有給の取得は、労働基準法によって規定されています。労働基準監督署に相談することで、企業への指導、是正勧告に動いてくれることがあります。
労働基準監督署側が動いてくれなかったとしても、労働基準監督署に相談したことを武器にしてください。
労働基準監督署への相談内容を、常駐先や自社に伝えることで、動いてくれる可能性が高まります。
3-4.常駐先を変更する
有給申請の拒否の原因は、常駐先であることがほとんどです。そのため、自社へ常駐先の変更を申し出ることも、有給を取りやすくする手法です。
ただし、常駐先の変更は希望が通りにくいです。理由としては、代わりとなるSES人材を見つけてくる必要があるためです。
SES人材を見つけてくるために営業の工数もかかるので、企業側としては、常駐先の変更はなるべく避けたがるでしょう。
関連記事:SESの案件を抜けたい!抜け方や、気を付けるべきポイントを解説
3-5.転職する
有給休暇を取得できない場合は転職も視野に入れましょう。
そもそも有給を拒否された時点で、常駐先や自社(雇用元)に問題があります。問題が常態化している可能性が高いです。
何度も言いますが、有給休暇を許可しないSES企業の場合、法律を遵守していない可能性が高いです。
転職を検討している方は以下の記事をご確認ください。
関連記事:SESからの転職先6選!SESから転職できないは嘘?ほんと?
4.SES・客先常駐から退職時に確執なく有給消化する方法
ここでは、退職を決めた際の有給消化の方法を解説します。結論から言うと、「有給消化」は可能です。
注意点もあるので退職が決まった際はぜひチェックしてください。ポイントは4つです。それぞれ解説します。
- ・数か月前から少しずつ有給消化する
- ・プロジェクトの切れ目に合わせて退職する
- ・引継ぎを行う
- ・早めに退職する旨を伝える
4-1.数か月前から少しずつ有給を消化する
まとめて有給を取得されると企業側も困るため、承認してもらえないことがあります。
そのため数か月前から転職活動と併せて少しずつ有給消化したほうがいいです。
毎週1日くらいのペースで有給消化がおすすめです。
企業側も調整がしやすく引き継ぎの時間も取れるので、退職が決まったら有給消化日を決めてしまいましょう。少しずつであれば要望は通りやすいです。
4-2.プロジェクトの切れ目に合わせて退職する
途中でプロジェクトから外れてしまうと、プロジェクトの進捗に影響が出るためです。
プロジェクトの切れ目であれば、次回のプロジェクトにアサインする人材を決めている期間でもあるので、有給も取りやすいです。
ただし、法律では2週間前にお伝えしても問題ないため、急ぎの退職であれば2週間前にお伝えしましょう。
関連記事:SESから転職するベストタイミングは?転職までの手順を解説
4-3.引継ぎを行う
客先常駐にて、担当している業務を引き継がず、退職してしまうと後継の人の教育に手間取ってしまうためです。
退職時にあなたが行った引き継ぎ資料をまとめておくことで、次に入る担当者がスムーズに業務を開始できます。
今までの感謝を忘れずに、引き継ぎも余裕を持って行いましょう。
4-4.早めに退職する旨を伝える
企業が早めに退職することを知ることで新しい人材の確保など調整しやすくなるためです。
退職するのであれば、円満にことを進めたいですよね?
スケジュールの余裕を作り、自分が抜けても問題なく業務が回るよう、退職する旨は言いにくいかもしれませんが、早く言うことを心がけましょう。
SES企業を退職検討している方は以下の記事で解説しています。
関連記事:SESを退職するには?プロジェクト途中の退場や損害賠償なども解説
5.SES・客先常駐の有給によくある質問
よくある質問について、5つの質問をまとめてみました。
- 1.稼働時間が140時間を下回ると有給は取得できない?
- 2.有給を取ると残業しなければならない?
- 3.エンジニアの有給取得率は?
- 4.有給が取りやすい優良企業はあるのか?
- 5.退職時の有給取得を断られたときの対応
5-1.稼働時間が140時間を下回ると有給は取得できない?
結論、有給は取得できます。
SES契約では140時間を下回ると、売上(契約金額)が減額される契約がほとんどであるため、売上を下げたくない企業は有給を取らせたくない背景があります。
140〜180時間をベースとしたSES契約が多いので、140時間を下回ると不安になるかもしれませんが、企業都合なので気にせず有給消化をしましょう!
5-2.有給を取ると残業しなければならない?
結論、残業をする必要はありません。
有給と残業は別問題であり、残業の強制や給料を減らされるようなら労働基準法第5条に基づき、違法になります。
例えば、金曜日に有給休暇を取ると以下のようになります。
|
この場合、一週間の残業時間は3時間です。
有給は、取得しても給与が減額されない休暇のことです。なので、8時間が所定労働時間だとすれば、金曜日に有給を使えば、8時間分働いたことになります。
残業については以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:SES企業で残業代がでない場合の対処法【残業の仕組みとは】
5-3.エンジニアの有給取得率は?
エンジニアの有給取得率は64%となります。厚生労働省が発表している数字になります。
業界別に見ると、電力・ガスなどエネルギー業界が最も高く76%、最も低いのが宿泊業・飲食サービス業で41%です。
全体平均が56%なので、業界全体にみてもエンジニアの平均有給取得率は高いです。
平均より明らかに自社の有給消化率が下回っているのであれば、有給消化率が高い企業への転職は大いにありです。
5-4.有給が取りやすい優良なSES企業はあるのか?
結論、有給を取りやすいSES企業は多いです。
SES・客先常駐のホワイト企業の特徴として、有給が取りやすいことに加えて、以下の要素があります。
- ・研修制度が充実している
- ・休日出勤や深夜勤務が少ない
- ・キャリアパスが充実している
- ・元請けの割合が多い
- ・自社で開発をしている
今働いている企業が、上記に当てはまっているかどうか考えてみましょう。
関連記事:SES企業の見分け方を徹底解説!優良企業の見分け方も紹介します
5-5.退職時の有給取得を断られたときの対応
この場合、強気の交渉を行うことがいいです。「労働基準監督署に相談する」と言えば、多くの場合承認されます。加えて、退職時に「時季変更権」は認められていません。
有給消化に強気の交渉をするためにも、転職を決めてからの退職がおすすめ。ただし、転職先でも同じ悩みを抱えてしまっては元も子もないので、会社選びは慎重に行いましょう。
ブラックなIT企業に間違っても入社しないようにするには、企業の内部事情を把握することが大事です。
企業の内部事情を詳しく知るには、IT専門の転職エージェントがおすすめです。
6.有給が取れないようなSES企業は退職も検討しよう
有給は労働者の権利であり原則、企業はそれを拒否できません。
有給をとらせないような企業はブラックである可能性が高いため、転職を考えた方がいいでしょう。
転職を考えるにあたっては、有給を含め現在の待遇を振り返るのがおすすめです。
平均的なSES・客先常駐企業と比べて業務と待遇が見合っていないのであれば、あなた自身が何を大切にしているかを明確にしておきましょう。
大切なことを明確にしておくことで、転職活動の際に企業の絞り込みやエージェントを使う際は、相談がしやすくなります。現状・理想をしっかりと言語化し、転職活動に活かしましょう。
7.【まとめ】SES・客先常駐の有給について
SES・客先常駐が有給をうまく取得する方法をまとめると以下の通りです。
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早めに、客先・自社の両方に有給申請をすることでよほどのことでない限り有給取得は可能です。万が一の備えで、申請理由も納得させられる内容を持っておきましょう!
SES・客先常駐で有給を拒否された場合の対応方法は以下のとおりです。
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有給がとれないと言うのは、あってはならないことですが遭遇してしまった場合は、常駐先・自社への相談をしましょう。それでも改善が見られない場合は転職もおすすめです。
転職活動自体は無料でできますし、リスクなしです。今までのスキル・経験で優良企業が求めている可能性もあります。
このようなことで
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はじめに職歴をお聞かせください。
この記事の監修者
エンジニア
大学卒業後、新卒で不動産会社に就職。その後23歳で開発エンジニアにキャリアチェンジし、3年間大手Slerにて様々な開発に携わる。その後、インフラストラクチャー企業にて人材コンサルタントとして経験を積み、株式会社ユニゾン・テクノロジーを創業。現在の代表取締役