ITエンジニアの残業って多いの?残業が多い理由や減らすコツも解説
ITエンジニアの残業ってどれくらいなんだろう…?
IT業界って残業が多いイメージだけど大丈夫かな…?
✓本記事の結論
- ・ITエンジニアの平均残業時間は23.4時間で、他の職業と比べると多い
- ・限り残業時間の少ない企業にいくには転職がおすすめ
ネット上でITエンジニアは残業時間が多いと言われていますが、実際にデータを見てもITエンジニアの残業は多い傾向にあります。
本記事では、ITエンジニアの残業の実情や残業を減らすための方法などについて解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
⇒【図解付き】エンジニアとは?職種・種類・仕事内容・ITエンジニアの適性までわかりやすく完全網羅!
目次
1.ITエンジニアの残業の実情とは?
まず、ITエンジニアの残業における実情を解説します。
現役ITエンジニアは、平均で何時間ほど残業を行っているのでしょうか?
1-1.ITエンジニアの平均残業時間とは
ITエンジニアはよく「残業時間が多そうな職業」だと評価されることが多いです。
しかし、その印象はイメージが先行しているだけでなく、データでもしっかりと立証されています。
Geeklyが2019年に実施した調査「IT業界における「残業」に関するアンケート」によると、ITエンジニアの平均残業時間は23.2時間だという結果が出ました。
この結果を労働者全体の平均残業時間と比較してみましょう。
厚生労働省による「毎月勤労統計調査 令和3年9月分結果確報」を見てみると、労働者全体の平均残業時間は9.4時間でした。
この2つのデータから考えると、ITエンジニアの残業時間は一般的な労働者よりも約2.5倍も多いことがわかります。
項目 |
内容 |
ITエンジニアの残業時間 |
23.2時間 |
労働者全体の平均残業時間 |
9.4時間(※) |
※企業が厚生労働省に申告した時間から算出されたもの
1-2.デスマーチって何?
どうしてITエンジニアは、一般的な労働者よりも残業時間が多いのでしょうか。
その理由は、デスマーチが発生しやすいからです。
デスマーチとは、労働環境における人員、休暇、予算などが不足している状態を指します。
直訳した際の意味は、「死の行軍」です。
デスマーチが発生する理由
- ・人手がいなため、少ない人数で開発しなきゃいけない
- ・客先から仕様変更を頼まれた
- ・客先から提示された納品日がシビアだった
- ・開発時にトラブルが発生した
デスマーチは特に納期直前やトラブル発生時から発生することが多く、発生すると労働時間が激増し、毎日のように残業に追われます。
エンジニアは開発最中にトラブルが発生した場合でも、システムを納期通りに納品しなければいけません。
そのため、残業や休日出勤で対応する必要が出てくるのです。
2.ITエンジニアの残業が多いと言われる理由
ここでは、ITエンジニアの残業が多い理由について詳しく解説します。
ITエンジニアならではの理由を、4つピックアップしました。
2-1.IT業界では人材が不足している
1つ目の理由は、IT業界全体で人材不足が発生しているからです。
少ない人員の中で業務を振り分けているため、結果的に1人あたりの残業時間が多くなってしまいます。
こういった状況は、データでも結果が出ています。
独立行政法人情報処理推進機構が発表した「DX白書2023」によると、2022年度における約8〜9割の日本企業が、IT人材不足であると回答しています。
また、2019年に経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査(概要)」では、IT人材不足の現況が数値化されました。
2018年では約20万人不足しているIT人材が、2030年には最大79万人も足りなくなると予測されています。
上記のことから人材を確保することができず、少ない人数で納期に対応する必要があることから、残業が増える傾向にあるのです。
エンジニアの人材不足については以下の記事をご覧ください。
2-2.突然の仕様変更がある
2つ目の理由は、突然の仕様変更が発生した際に残業時間が増えるからです。
仕様変更が発生すると、場合によってはプログラムを1から作り直す必要がありますし、テストが終わったシステムであればテストもやり直す必要があります。
仕様変更を依頼された場合でも、納品日が延長されない場合は多いです。
この時、人員の追加ができない場合は残業してでも納期に間に合わせる必要があります。
残業が増えてくるとエンジニアのケアレスミスも増えてくることから、トラブルが発生してさらに残業時間が増える…という負のスパイラルに陥りやすいです。
2-3.多重下請構造で納期が厳しい
3つ目の理由は、多重下請構造によって納期が厳しくなることです。
多重下請構造とは、複数の企業が下請け企業となって、業務を再委託し続けるピラミッド型構造を指します。
発注元であるエンド企業が委託した案件が1次請企業に業務を委託し、その企業が2次請企業に再委託し、また3次請企業に再委託する…といった流れです。
構造の下層となる企業では、納期が非常に厳しくなります。
エンド企業が提示した納期に間に合わせるためには、実際に業務を行う企業の納期がもっともタイトになるからです。
結果的に、2次、3次請け…と下層の企業にいくほど残業が増える傾向にあります。
2-4.緊急時のトラブル対応がある
4つ目の理由は、緊急時のトラブル対応で残業時間が増えるケースです。
具体的には、以下のような例が挙げられます。
エンジニアの緊急時のトラブル
- ・クライアントからの要求が変更される
- ・システムやネットワークに障害が発生する
- ・原因不明のアクシデントに対応する
上記のようなトラブルが起きると、早急に対応する必要があります。
場合によっては休日出勤や夜間対応も求められることから、残業時間が増えるのです。
3.ITエンジニアの残業を減らすには?
ここからは、ITエンジニアの残業を減らす方法について解説します。
ITエンジニアは残業時間が多い職業ですが、対策を行うことで残業を減らせます。
4つの方法を取り上げるので、ぜひ参考にしてください。
3-1.転職のプロに相談する
1つ目の方法は、転職のプロに相談することです。
現在の労働環境よりも条件が良い職場に転職すれば、業務上のストレスも減るでしょう。
転職エージェントに相談するなら、IT企業に特化した転職エージェントを選ぶようにしましょう。
比較的残業時間が少ない企業を探し、自分の要望に合った職場を見つけ出しましょう。
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3-2.業務の効率化や分散化をする
2つ目の方法は、業務の効率化や分散化を行うことです。
仕事の取り組み方を変えれば現在抱えている業務の負荷を減少できるため、残業時間を減らすことにも繋がります。
業務を効率化する方法
- ・仕事に優先順位をつけ、どの仕事をするか悩む時間を減らす
- ・ルーティン化した業務のマニュアルやテンプレートを作成する
- ・業務を細分化し、他の人に業務を分散させる
- ・業務効率化ツールを利用する
3-3.フリーランスを目指す
3つ目の方法は、フリーランスに転身することです。
フリーランスのITエンジニアとして働けば、自分が希望する労働条件で業務を行えるため、残業時間も減らせます。
ただし、フリーランスエンジニアにはデメリットも存在するため、下記の表を参考にしてください。
項目 |
内容 |
フリーランスのメリット |
|
フリーランスのデメリット |
|
3-4.行政機関に相談する
4つ目の方法は、労働基準監督署などの行政機関に相談することです。
- ・36協定の基準を超えて残業させられている
- ・残業代が支払われない
- ・従業員が管理職として不当に扱われている
- ・本来と異なる時間にタイムカードを切らせられている
上記のような違法行為が確認できた場合、会社の労働環境について是正勧告を出してもらえるかもしれません。
もし現在の働き方に限界を感じているなら、行政の力を借りて改善することもひとつの手です。
4.他の職業とITエンジニアの残業の違い
他の職業とITエンジニアの残業の差はどれほどあるのでしょうか。
ここでは、他の職業とエンジニアの残業時間の違いについて、分かりやすく解説していきます。
dodaが2023年に公開した「平均残業時間ランキング【94職種別】」を見てみましょう。
ビジネスパーソン15,000人に残業時間を尋ねたところ、平均残業時間の多い職種ランキングは以下のような結果になりました。
順位 |
職種 |
残業時間 |
第1位 |
プロデューサー、ディレクター、プランナー |
37.1時間 |
第1位 |
ビジネスコンサルタント |
37.1時間 |
第3位 |
施工管理(建築関係) |
35.3時間 |
第4位 |
商品企画、サービス企画 |
34.0時間 |
第5位 |
運輸、物流サービス |
31.1時間 |
第6位 |
製品企画(ものづくりエンジニア) |
29.0時間 |
第7位 |
設計監理、コンストラクションマネジメント(建築関係) |
28.9時間 |
第8位 |
機械設計、金型設計、光学設計(ものづくりエンジニア) |
28.5時間 |
第9位 |
組み込みエンジニア(ものづくりエンジニア) |
28.4時間 |
第10位 |
医療機器メーカーの営業 |
28.1時間 |
第10位 |
ゲームクリエイター(Web、モバイル、ソーシャル) |
28.1時間 |
ITエンジニアは以下の分野でランクインしています。
- ・第6位「製品企画」
- ・第8位「機械設計、金型設計、光学設計」
- ・第9位「組み込みエンジニア」
ランキング上位に複数の職種がランクインしていることから、ITエンジニアは比較的残業が多いことがわかります。
ちなみに、平均残業時間の少ない職種ランキング上位は、以下のようになりました。
順位 |
職種 |
残業時間 |
第1位 |
秘書、受付 |
10.0時間 |
第2位 |
美容関連職(理美容、エステ、マッサージ) |
10.4時間 |
第3位 |
営業事務アシスタント |
11.0時間 |
第4位 |
薬事 |
11.6時間 |
第5位 |
医療事務アシスタント |
12.2時間 |
このように、残業時間が10時間台の職業も少なくありません。
残業時間が少ない職種は、定時時刻がはっきりしていたり、明確な閉店時間が決められていたりする特徴があります。
- ・納期によって忙しさが変わる
- ・急なトラブル対応を実施しなければならない
上記のような特徴があるITエンジニアの残業時間が多いことは、致し方ないともいえます。
5.ITエンジニアの残業って法律的にどうなの?
ITエンジニアの長時間残業は、法律違反ではないのでしょうか?
ここでは、ITエンジニアの残業について、法律的観点から解説いたします。
5-1.働き方改革で変わった労働時間
従業員の労働時間は、本来「1日8時間、週40時間以内」に収めなければなりません。
なぜなら、労働基準法によって、法定労働時間がこの時間内に定められているからです。
残業として法定労働時間以外に労働を行うには、36協定で細かく残業の内容を決める必要があります。
もちろん、ITエンジニアも例外ではありません。
これを言い換えると、法定労働時間と36協定で決められた時間内に残業を終わらせていれば、法律違反にはなりません。
5-2.残業を認める「36協定」って何?
36協定とは、法定労働時間を超えて業務を行う場合に企業・労働者間で協定を結ばなければならない法律のことで、労働基準法第36条に定められています。
36協定では、具体的に以下のような内容が策定されています。
36協定に定められている内容
- ・残業を行う業務の種類
- ・1日、1か月、1年あたりにおける残業の上限
- ・残業を行わなければならない具体的な理由
- ・残業を行う労働者数
- ・残業における延長時間
- ・協定の有効期間
この36協定に定められた内容に違反した企業に対しては、罰則(懲役、罰金)が課せられます。
以下のdigireka!HRの記事では、36協定について詳しく解説されています。
36協定の注意点や上限時間などについても触れられているので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
「36協定とは?締結時の注意点や変更点を解説!【2022年版】|digireka!HR」
6.【まとめ】今より残業を減らしたい場合は転職を考えよう!
ITエンジニアの平均残業時間は23.2時間です。
ITエンジニアの残業時間が多いと言われる理由は以下の通りです。
残業時間が多い理由
- ・IT業界では人材が不足している
- ・突然の仕様変更がある
- ・多重下請構造で納期が厳しい
- ・緊急時のトラブル対応がある
IT業界は慢性的な人材不足が発生していることや、イレギュラーな業務内容が多いという特徴があります。
このような現状から、納期に間に合わせるために残業時間が増えてしまうのです。
また、ITエンジニアの残業を減らすには以下の方法があります。
残業を減らす方法
- ・転職のプロに相談する
- ・業務の効率化や分散化をする
- ・フリーランスを目指す
- ・行政機関に相談する
その中でもとくにおすすめしたいのは、転職のプロに相談してより良い企業に転職する方法です。
職場内で残業が慢性化していると改善されない可能性もあります。
改善されそうにない場合は、思い切って転職して残業を減らしていきましょう!
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この記事の監修者
エンジニア
大学卒業後、新卒で不動産会社に就職。その後23歳で開発エンジニアにキャリアチェンジし、3年間大手Slerにて様々な開発に携わる。その後、インフラストラクチャー企業にて人材コンサルタントとして経験を積み、株式会社ユニゾン・テクノロジーを創業。現在の代表取締役