SESって絶対客先常駐なの?SESの見分け方について解説|SES
SESって絶対客先常駐なのかな…?
SESと客先常駐の違いはある…?
✓本記事の流れ
- ・SESと客先常駐の違いについて解説
- ・SESのメリット・デメリットを解説
- ・SES企業か見分ける方法を解説
SES(客先常駐)っていう表記をよく見るけど、本当に同じことなのか疑問に思っている方も多いと思います。
本記事では、SESと客先常駐の違いについて解説しています。
最後には、未経験からのSESの回避方法について解説していますので、客先常駐で働きたくないと感じた方は、最後までお読みください。
【→関連記事:SESとは?【図解】IT派遣との違いや契約のメリットをわかりやすく解説】
目次
1.SESと客先常駐の違いについて解説
どちらもエンジニアと深い関係性のある用語だけに、SESと客先常駐にどんな違いがあるのか理解しづらいですよね。
両者を混同しないよう、まずはSESと客先常駐の違いを確認しましょう。
1-1.SESと客先常駐の違い
SESは準委任契約と呼ばれ、クライアントに提供する技術サービスのことを指します。一方の客先常駐は、エンジニアがクライアント企業に出向いて仕事をする働き方です。
SESは「委託契約の一種」、客先常駐は「働き方の一種」を指すため、両者は完全にイコールの関係とはいえません。
SESと客先常駐が同じものと認識されやすいのは、どちらもエンジニアを客先に派遣する形態をとるためです。
1-2.SESとは
SESは「システムエンジニアリングサービス」の略称で、ソフトウェアやシステム開発における委託契約の一種です。
エンジニアの労働力を契約の対象とし、クライアント企業にエンジニアを派遣することでサービスを提供します。
エンジニアを派遣する点で派遣契約ともよく似ていますが、派遣契約とは指揮命令権の所在に違いがあります。
SESにおける指揮命令権はSES企業、つまり所属する企業にあるのに対し、派遣契約における指揮命令権の所在はクライアント企業です。
SESと客先常駐のように、SESと派遣契約の間にも細かな違いがあることを理解しておきましょう。
【→関連記事:SESとは?【図解】IT派遣との違いや契約のメリットをわかりやすく解説】
1-3.客先常駐とは
客先常駐は自分が所属する企業ではなく、クライアント企業に出向いて業務に従事するIT業界ならではの働き方です。
基本的にエンジニアはクライアント企業に出勤し、業務が終われば自社には立ち寄らずそのまま自宅に帰宅することになります。
客先常駐する契約
- ・SES契約(準委任契約)
- ・派遣契約
- ・請負契約
客先常駐は働き方そのものを指すため、SES契約はもちろん、派遣契約や請負契約でも発生する可能性があります。
3つの契約形態の違いは、報酬が支払われる対象(働いた時間もしくは成果物)や、指揮命令権の所在などです。
【→関連記事:客先常駐とは?メリット・向いている人も解説【1分でわかる】】
1-4.客先常駐ではないSES企業はある?
客先常駐ではないSES企業はありません。
SES企業は、クライアント企業にエンジニアを派遣して利益を得ているため、エンジニアとして雇用されている人は客先での勤務が基本となります。
働き方については、派遣されるクライアント企業の勤務ルールによって異なります。
客先常駐のSESはテレワークができないと思われがちですが、勤務ルール次第では、場所や時間に縛られない柔軟な働き方が可能です。
2.SES(客先常駐)で働くメリット
実際に働くうえで、「どんなメリットがあるのか」が気になるところですよね。
ここではSESで働くメリットを紹介するので、自分が仕事に求めるものがSESの特徴にマッチするのか、SESとして活躍できそうかの判断材料にしてください。
2-1.様々な環境で働くことができる
SESは、特定の業界にとらわれない幅広い企業に派遣されるのが特徴です。
派遣される企業によって業務内容は異なるため、様々な環境で働けるメリットがあります。
SESとして派遣される企業の例
- ・自動車メーカー
- ・医薬品メーカー
- ・金融機関
- ・外資系企業
派遣される期間は契約によって異なりますが、短いものであれば1ヶ月程度、長いものであれば1年以上となるのが一般的です。
比較的短い期間で環境が変わることになるため、仕事に新鮮さを求める方や、新しいもの好きな方に向いています。
2-2.コミュニケーション能力を付けることができる
SESでは、クライアント企業との密なコミュニケーションが求められます。報告や交渉を通じて、エンジニアに求められるコミュニケーション能力をつけられるのがメリットです。
SES企業からクライアント企業に派遣されるといっても、業務は一人で黙々と進めるわけではなく、チームで進めるのが一般的です。
業務を通じて様々な立場や年齢の人と関わることになるため、コミュニケーション能力と同時に、協調性や共感力を身につけられます。
また、複数の企業での業務を経験することで、人脈を広げられる点もメリットです。
一つの企業で働く場合は他の企業のエンジニアと交流する機会は限られますが、SESではクライアント企業で働くエンジニアや、別のSES企業から派遣されたエンジニアと交流する機会があります。
2-3.未経験でも採用されやすい
ITエンジニアには専門性が求められるため、未経験から目指すにはややハードルが高いように感じる方も多いと思います。
その点、SES企業は自社開発やSIerに比べて、未経験でも採用されやすい傾向にあります。
その理由の一つに挙げられるのが、SES企業ならではのビジネスモデルです。
SES企業はクライアント企業にエンジニアを派遣して利益を得ており、ビジネスモデルを成り立たせるには多くのエンジニアが必要となります。
スキルや経験のあるエンジニアで揃えるのが最善の策ですが、IT業界は人材不足に陥っていることもあって、こうしたエンジニアは同業他社との取り合いになりがちです。
このような背景から、未経験者を積極的に採用し、研修制度やスキルアップ支援によって自社で育成しようとするSES企業が多く見られます。
【→関連記事:未経験からSESはおすすめ?やめとけ?SES企業選びのポイントを解説】
2-4.大手企業に常駐できることがある
SES企業は様々な企業にエンジニアを派遣しているため、大手企業に勤務する可能性があります。
新卒や既卒として直接採用してもらうのはハードルが高い大手企業に、常駐できるケースがあるのがメリットです。
職場環境は企業によりますが、大手企業ほど社内設備や福利厚生が充実している傾向にあります。
派遣先の企業によっては、社員食堂や企業内フィットネスなど、独自の社内設備を利用できる点が魅力です。
また、働きぶりを評価してもらえると、そのまま大手企業に引き抜かれる可能性もあります。
既にSESとして働いている職場への転職となるので、所属する企業が変わっても新しい環境にスムーズに適応可能です。
その他、SESで働くメリットは以下の記事で詳しく解説しておりますので、参考にしてみてください。
【→関連記事:SESのメリットとデメリットは?向いていない人の特徴も紹介!】
3.SES(客先常駐)で働くデメリット
SESとして働くうえでは、少なからずデメリットもあります。
転職を考えるときは働くメリットだけでなく、デメリットも含めて自分に合う職種や働き方なのかを見極めましょう。
3-1.働く環境が安定しない
比較的短い期間で派遣先の企業が変わるため、働く環境が安定しません。
仕事に新鮮さを求める方にとってはメリットですが、安定性を求める方にとってはデメリットとなるでしょう。
特に問題となりやすいのは、「毎回新たに人間関係を築く必要がある」「プロジェクトごとに業務内容を覚えないといけない」の2つです。
働く環境が安定しないと、人間関係や業務への適応の面で少なからず負担がかかります。
また、勤務地によっては、現在住んでいる場所からの引っ越しを検討しなければならないかもしれません。
住む場所が変われば生活の環境とリズムも変わり、新しい環境に不安を感じたり、ストレスを溜めこんだりする場合があります。
3-2.給料が低い傾向がある
SES企業は下請けの仕事を担うビジネスモデルをしているため、給料が低い傾向にあります。
3次請けや4次請けのような多重下請けとなるケースも見られ、企業間で発生する手数料の影響で、エンジニアの給料が上がりづらいのが現状です。
また、所属する企業によっては給料がカットされる場合があります。
プロジェクトが終われば、所属する企業から次の業務がアサインされますが、派遣先の企業が見つからなかったときは待機期間に入ります。
その間は企業の売上に貢献できないため、通常の給料の7割支給、6割支給といったように、給料をカットする企業も一部で見られます。
SES企業に入社する際は、待機期間の長さや給料の扱いについて、事前にチェックしておくことが大切です。
【→関連記事:SESの平均年収は低すぎ?未経験の給料が低い理由や上げる方法を解説】
3-3.一人で客先常駐する可能性がある
中には、一人で客先常駐をさせるSES企業が存在します。
一人の場合でも派遣先企業のエンジニアや、同じくSESとして派遣されてきたエンジニアと一緒に働くケースが一般的ですが、精神的辛さやコミュニケーションの難しさを感じやすいデメリットがあります。
一人での客先常駐のデメリット
- ・周りの人に気を遣う
- ・孤独感を感じやすい
- ・会社への愛着や帰属意識を持ちづらい
- ・自社の評価基準が曖昧になりやすい
- ・一人でトラブルに対処しないといけない場合がある
所属する企業の干渉が少なく、人によっては気楽に働ける場合がありますが、多くの人は一人での客先常駐に辛さを感じる傾向にあります。
3-4.上流工程に関わる機会が少ない
SESでの業務の多くは下流工程であり、上流工程に関われるのは僅かなエンジニアのみです。
上流工程は派遣先企業のエンジニアが担当し、SESは既に詳細が決まっているプロジェクトの開発・運用に携わるケースが多く見られます。
そのため、上流工程に関わる機会が少ないSESではスキルアップが困難です。
出来上がったマニュアルに従って進める単純な作業が多く、キャリアアップや転職に活かせるようなスキルが身につかない可能性があります。
下流工程からキャリアアップを目指す場合は、業務時間外で資格の勉強をしたり、自己学習によって知識を身につけたりしなくてはいけません。
【→関連記事:SESのメリットとデメリットは?向いていない人の特徴も紹介!】
4.SES(客先常駐)からのキャリアプラン
「SESはスキルが身につかないからやめとけ」という言葉をよく耳にすると思いますが、未経験でもエンジニアになりやすいのは大きなメリットです。
エンジニア未経験の方がSESである程度経験を積んでから、キャリアアップを目指して転職する手段もあるので、必ずしも「SESは避けるべき」とは言い切れません。
また、SES企業でエンジニアの経験を積んだのち、自社開発企業に転職し、プロジェクトマネージャーにキャリアアップすることも可能です。
さらに経験を積んでいけば、フリーランスとしての活躍を視野に入れられます。
スキルの身につきにくさや働く環境の不安定さからSESは敬遠されがちですが、今後のキャリアアッププランの一部として考えられると理解しておきましょう。
【→関連記事:SES企業でキャリアアップする方法|キャリアプランも併せて解説】
5.SES(客先常駐)か見分ける方法
企業ホームページや求人にSESと明確に記載されているケースは少ないため、SESなのか、それとも自社開発企業なのか見分けるのは難しいですよね。
ここでは、企業ホームページや求人の情報からSESか見分ける方法を紹介するので、「できるだけSESは避けたい…」と考えている方はぜひ参考にしてみてください。
5-1.勤務地がプロジェクトによると記載されている
勤務地が「プロジェクトによる」と記載されていれば、SESの可能性があります。
SES企業のエンジニアは派遣先の企業で働くことになり、プロジェクトによって勤務地が変わるためです。
そのほか、以下のような表現がある場合もSESの可能性が高めです。
- ・東京23区
- ・首都圏
- ・東京近郊
- ・客先に準ずる
- ・クライアント勤務地による
自社開発企業であれば、勤務地が広範囲に及んだり、プロジェクトごとに変更されたりするケースはまずありません。
ですが、受託開発やSIerでも客先常駐が発生することは多いです。客先常駐であるからといって必ずSES企業ではない点に注意しましょう。
5-2.社員数とオフィスの広さが釣り合っていない
社員数が多い割にオフィスが小さい場合も、SESである可能性が高めです。
エンジニアを派遣先の企業に常駐させるSES企業では、大きなオフィスを必要としないためです。
たとえば、数百人の社員がいるにもかかわらず、あまり広くないシェアオフィスやレンタルスペースをオフィスとしている企業には不自然さがあります。
このように、社員数とオフィスの広さが釣り合っていない場合は、SESだと疑いましょう。
SESか自社開発企業か見分けるには、興味のある企業のホームページでオフィスの写真を確認し、写真がない場合は住所からGoogleマップなどで調べてみるのがおすすめです。
5-3.大量のエンジニアを募集している
エンジニアの募集が多いのもSES企業の特徴です。
SES企業の売上はエンジニアの数に左右されるため、大量のエンジニアを募集している企業が多く見られます。
大量募集をしていると、採用されやすい魅力的な企業に見えますが、会社の規模を大幅に上回るような採用を繰り返している企業は要注意です。
そうした企業は人が辞めることを前提にしており、劣悪な職場環境で働かされる可能性があります。
面倒を見る社員の数が足りずにまともな教育を受けられないリスクもあるので、不自然なほど大量のエンジニアを募集している企業には注意してください。
SES企業を見分ける方法は次の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
【→関連記事:SES企業の見分け方を徹底解説!優良企業の見分け方も紹介します】
6.SES(客先常駐)を避けて働くには
SESの見分け方を理解できても、「自分はエンジニア未経験だからSES以外は難しそう…」と感じる方は多いと思います。
最後に、未経験からのSESの回避方法を紹介するので、客先常駐で働きたくない方は以下の方法を試してみてください。
6-1.転職エージェントを利用する
エンジニア未経験ではあるものの、SESには就職したくない方は、転職エージェントを利用することをおすすめします。
転職エージェントではSESの見分け方はもちろん、自分の希望に合う求人の紹介や、選考対策のサポートもしてもらえます。
転職エージェントのメリット
- ・経験豊富なキャリアアドバイザーに相談できる
- ・非公開求人を紹介してもらえる
- ・業界や企業の内情を把握できる
- ・選考対策をサポートしてもらえる
- ・企業との交渉を代行してもらえる(入社日の調整、年収交渉など)
たとえば「ユニゾンキャリア」は、キャリアアドバイザー全員がIT業界に精通しているITエンジニア専門の転職エージェントです。
エンジニア未経験者向けの求人を多く取り扱っているので、ぜひ利用を検討してみてください。
6-2.スキルを身につける
エンジニアはスキルと経験が評価に大きく影響する職種です。
エンジニア未経験の場合は経験を強みにできないため、スキルを強みにできるよう転職活動前にしっかりと身につけておきましょう。
スキルを身に着けるための勉強方法としては、以下のものが挙げられます。
- ・プログラミングスクール
- ・セミナーや勉強会に参加する
- ・書籍や動画を使って独学で勉強する
スキルを身につけることで、転職活動時のポートフォリオの作成にも役立ちます。
プログラミングスクールや独学など、いずれの方法にもメリットとデメリットがあるので、自分に合う勉強方法でスキルアップを目指しましょう。
【→関連記事:SESエンジニアはスキル不足で退場させられる!?原因や対処法を解説】
7.まとめ:SESと客先常駐は同じではない
いずれもエンジニアをクライアント企業に派遣する形態をとるため混同しがちですが、厳密にはSESと客先常駐は同じではありません。
SESと客先常駐の違い
- ・SESは、クライアントに提供する技術サービス
- ・客先常駐は、エンジニアがクライアント企業に出向いて仕事をする働き方
SESはスキルの身につきにくさや働く環境の不安定さから敬遠されがちですが、「様々な環境で働ける」「未経験でも働きやすい」など、メリットも多く見られます。
必ずしも「SES=悪」ではないので、メリットとデメリットの両方を考慮したうえで、自分に合う働き方なのかを判断するようにしましょう。
このようなことで
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こんにちは!
はじめに職歴をお聞かせください。
この記事の監修者
エンジニア
大学卒業後、新卒で不動産会社に就職。その後23歳で開発エンジニアにキャリアチェンジし、3年間大手Slerにて様々な開発に携わる。その後、インフラストラクチャー企業にて人材コンサルタントとして経験を積み、株式会社ユニゾン・テクノロジーを創業。現在の代表取締役